2017/09/14
Column
赤ワインは酔いやすい? 白ワインに比べ、赤ワインが酔いやすいと感じる理由とは?
白ワインに比べ、赤ワインのほうが酔いやすいといわれます。
本当に赤ワインは悪者なのでしょうか?
二日酔いは赤ワインのせい?
「ああ、酔ってしまったなあ——」と、二日酔いの頭をかかえながら反省し、「そういえば、いつも赤ワインだ」と、思いあたったことのある方も多いかもしれません。
そんなことから、「白ワインよりも、赤ワインの方が悪酔いしやすい!」などともいわれます。
赤ワインは、悪酔いの元凶なのでしょうか?
さまざまな「酔い」の原因
ヒスタミン
ズキズキと頭が痛くなる二日酔いは辛いもの。
これは、お酒に含まれるアルコール、アデノシン、アセトアルデヒド、酢酸などの物質による血管拡張作用が原因といわれています。
血管が拡張すると、気分は高揚し、楽しくなりがち。そして、ついつい飲み過ぎてしまいます。血管の拡張状態が長く続くと、血管は炎症を起こし、かくして、血管が密集する頭が痛くなるというのが、二日酔いの頭痛の構造のひとつです。
他にも血管拡張作用をおよぼす物質として、ヒスタミンがあります。ヒスタミンは、製造過程でマロラクティック発酵させたワインに多く含まれることが解っています。マロラクティック発酵は、乳酸菌をはたらかせてリンゴ酸を乳酸に変えワインの味わいをまろやかにする、基本的に赤ワインに用いられる手法。したがって、ヒスタミンを多く含んだ赤ワインは、白ワインよりも酔いやすい——と、いえるかもしれません。
チラミン
頭がズキズキと痛む二日酔いのもうひとつの原因物質に、チラミンがあります。
チラミンには、ヒスタミンとは反対に、血管を収縮させる作用があります。
風邪を引くと熱が出る背景には、体内にウィルスが入ると体温が下がるので、体温を元に戻そうという自己治癒力がはたらき、その調節がうまくいかずに高熱になってしまう——という構造があります。
チラミンの作用と身体の反応もこれとよく似ています。チラミンが血管を収縮させると、身体はこれに対抗して血管を広げようとします。このはたらきが行き過ぎて、結果として血管が膨張、これが頭痛の原因となるのです。
赤ワインはチラミンを多く含んでいるため、この物質の影響を受けやすい体質の人は、「赤ワインを飲むと悪酔いする」という経験値を持っておられるかもしれません。
また、悪いことにというか、巧い具合にというべきか、チラミンは、熟成チーズ、チョコレート、漬物類、発酵食品、燻製魚、鳥類の内蔵、イチジク、豆など、赤ワインによく合うおつまみにも多く含まれています。
「赤ワインを飲むと悪酔いする」という人は、この「マリアージュの負のスパイラル」に、はまり込んでいるのかもしれません。
ところで、「それなら、赤ワインには、チラミンとヒスタミンの両方を含むものが多いわけだから、両者の作用が相殺して酔いにくいのでは?」と思いませんか?少なくとも筆者は、そう考えました。
しかし、こんな一休さんのようなことをいうのは素人考えだそうです。人によって、ヒスタミンの作用を受けやすい体質と、チラミンの作用を受けやすい体質とがあるらしく、効果の出かたは人それぞれ——とのことです。
温度
ワインの飲みごろ温度は、スパークリングワインや甘口のデザートワインは2~5℃、白ワインは6~9℃、赤ワインは14~16℃くらいといわれています。
体温に近い赤ワインの方が、胃や腸においてすぐに吸収されやすく、身体に影響が出るのが早いとのこと。このため、赤ワインを飲んでいると、すぐに酔いがまわってしまったり、飲んでいるうちにズキズキと頭が痛んできたりしやすいのだとか。
しかしこれは、「身体に影響が出るのが、他のワインにくらべて早い」というだけのこと。白ワインもたくさん飲めば、後で二日酔いになることに違いはありません。
赤ワインは悪者?
二日酔い対策のひとつに、「食べながら飲む」というのがあります。
しかし、チラミンを多く含む食品を食べながらでは逆効果。
また、チラミンを多く含む食品こそ、赤ワインには絶妙によく合います。
困ったことだなあ、と思いつつ、また今夜も飲んでしまうのでしょうが……。