2017/09/01
Column
赤ワインを冷やすのはアリ? 冷やしても美味しい赤ワインの条件とは
赤ワインは「常温で飲むのが基本」などともいわれていますが、一方で、日本の夏の「常温」では、生ぬるく感じてしまうことも多々あります。
赤ワインを冷やして飲む場合は、何度くらいが適温なのでしょうか?
さらに、冷やしても美味しく飲める赤ワインの特徴をご紹介します。
赤ワインの「適温」
あまり神経質になりすぎる必要はありませんが、赤ワインを飲む際の適温は、通常14~16℃といわれています。
夏場でも、日陰に入れば涼しく、日差しの届かない屋内では寒く感じることもあるヨーロッパでは、赤ワインは室温で飲むのが常識です。
しかし、蒸し暑い日本の夏においては、赤ワインも冷やして飲みたくなるのが人情というものでしょう。
冷やして美味しい赤ワインとは?
赤ワインの飲みごろ温度は何故高めなのか?
スパークリングワインや甘口のデザートワインの飲みごろ温度は2~5℃。白ワインは6~9℃といわれています。これに対して、赤ワインの飲みごろ温度は14~16℃。どうして赤ワインの飲みごろ温度は、高めなのでしょうか?
ワインの中には、さまざまなアロマが秘められています。
抜栓され、ワインが空気とふれあうと、秘められたアロマが徐々に開きはじめ、ワインの温度が上がるに連れ、香りや味わいにさまざまな表情が浮かびます。
アロマは、ぶどうの果皮に由来するケースが多いため、白ワインに比べて皮の要素が濃厚な赤ワインにより多く含まれます。このため、高めの温度設定にすることで、赤ワインが潜在的に持っているアロマを多く開かせることができる——というわけです。
また、黒ぶどうの皮にはタンニンが含まれています。タンニンは、比較的高めの温度の方がまろやかに感じられ、低めの温度では「渋味」として認識されやすい、という特質があります。
これらの理由から赤ワインは、スパークリングワインや白ワインよりも、高めの温度が「飲みごろ」とされているのです。
ぶどう品種から探る
したがって、赤ワインを冷やして飲みたい場合は、こうした条件の逆手をとればよい——ということになります。
その1 複雑で多彩なアロマをもつという特徴の逆手をとり、「解りやすい果実味のあるワイン」であること。
その2 タンニンが少なめなワインであること。
こうした条件のワインを選ぶ際には、ぶどう品種がヒントになります。
たとえば、ボージョレ・ヌーボーで有名なフランス、ボージョレ地区で栽培されているガメイ種から造られた赤ワイン。ヴィンテージの若いうちは、フルーティーで透明感のある味わいの赤ワインが多いので、冷やして飲むにはピッタリです。ただし、熟成したボージョレには、多くのアロマが秘められていることもしばしばあるため、古いヴィンテージのボージョレは、赤ワインのセオリどおりの温度がおすすめです。
また、フランスはロワール地方で多く栽培されているカベルネ・フラン種や、国際品種のメルロー種も、特徴としてまろやかな印象をたたえているので、低い温度でもやさしい果実味が開きます。ことに、よく冷えたカベルネ・フラン種からはイチゴなどベリー系のチャーミングな香りが感じられるため、飲む人を選びません。
ブルゴーニュ地方の代表品種であるピノ・ノワール種は、ニューワールドで造られたワインがおすすめ。果実味と、独特の旨味をたたえたニューワールド・ピノは、冷やしてもその美味しさがへこたれません。
他にも、チェリーのようなニュアンスをたたえたイタリアのバルベーラ種、プラムのような旨味あるスペインのテンプラリーニョ種などなど、タンニン控えめで、果実味のあるぶどうはおすすめです。いずれも、若いヴィンテージのものが、冷やして飲むには向いているようです。
夏を乗り切る赤ワイン
色素の濃い赤ワインには、酸、タンニン、ミネラルなどなど、白ワインより多くの要素が溶け込んでいます。
汗をかく季節にミネラルは必須、また程よいタンニンには、食欲をかき立て、夏場の基礎体力を整える作用も。
赤ワインを美味しく飲んで、厳しい夏を乗り切りましょう。