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2017/05/17

Restaurant

上座と下座、どちらに座る? 着席までの美しい振る舞い方

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前回は予約のキャンセルについて書きましたが、「脱サラソムリエが本音で語るレストラン利用術」の6回となる今回は、お店に入って、席についてからのプロセスについて述べたいと思います。

カフェのようにお客様が自由に席を選べる店もありますが、多くの店は、居酒屋も含めて、店員の誘導にしたがって席につくと思います。その時、如何にしてスムーズに着席するかが、実はお客様としての勝負のしどころなのです。

常日頃私自身が思っていることは、料理を楽しむということはその料理に関わる文化を楽しむ行為であるということです。堅苦しく考えるべきではないと思いますが、フランス料理店に行く場合には、フランスの文化を楽しんで頂きたいと思います。料理とワインのマリアージュ、メニューの地方性、有名な料理人が生み出した料理の歴史、そういったものを知っていると楽しさも倍増です。

和食においても、懐石料理における季節感は、皿、掛け軸、花にまで反映されており、そういった側面も理解できれば、楽しさも広がっていきます。サービス人としては、時間の許す限り、押しつけがましくならない程度にそういった面でのサポートも出来ればと思っております。

レディーファースト

これが出来るかどうかで、お客様としてのカッコ良さは各段に変わってきます。入店してお店の中に入ったら、まず予約名を告げ、案内に従って行きますが、その時点で入店は女性から先に進みます。そして、男性は後ろからエスコートです。着席は、奥の席、壁側の席に女性を通し、男性は入り口側に座ります。ここまではある意味普通ですが、時々男性が奥、入り口側に女性という配置に座られることがあります。入店してからのお二人の所作等を見ていて、それがいわゆる亭主関白的なマインドの結果なのかは判断できますが、ちょっと残念な感じがしますね。

上座と下座

接待の場合には、たいていのお客様がご予約の時点でその旨おっしゃって頂けますし、その際にはこちらもご予約の電話で詳細を伺っていて、それに応じてテーブルセッティングしますが、時々あるのは、ご予約の際に一切話が出ていなかったにも関わらず、実は接待であったケースです。通常3名様のご予約であれば、上座2名、下座1名でのセッティングでご用意しております。これに対し、ホスト2名、お客様1名の場合、テーブルセッティングを変えることになりますので、お客様からみるとちょっと違和感のある時間が流れます。予約の際にそれを伝えて頂いていると、事前に準備が出来ますし、あとは、お客様よりも少し早めにご来店頂ければ、それはそれでスムーズな準備が可能となります。

seating_2

 

次に、ホスト側が女性、ゲスト側が男性の場合の席次ですが、基本はビジネスでの関係が優先されますから、女性が下座に座るのが正しい席次となります。事前情報がない初来店のお客様の場合、女性が下座、男性が上座に座った場合、上記亭主関白型のお客様なのか、接待なのか、お店として判断する必要が生じます。

具体的には、ワインをお選び頂いたあとのホストテイスティングですが、カップルであれば男性にお願いしますが、接待であればホストである女性にお願いすることになります。お二人のご様子と会話の内容によって関係が読み取れるケースが多く判別に困ることはあまりないのですが、以下の4パターンが生じうるケースであり、それについてお店の対応を記載してみます。

①ホスト男性下座、ゲスト女性上座
通常のパターンであり、問題なく男性のホストにテイスティングをお願いします。

②ホスト女性上座、ゲスト男性下座
①と見た目は同じですが、内容が異なるケースです。レディーファーストが優先された座り方とも言えますが、この場合はお二人の関係がそれなりに近いものであり、座り方にお二人の思想が現れているものと判断して、男性のお客様にホストテイスティングをお願いします。①との違いは、事前情報がない場合、お二人の空気感、会話から判断していきます。

③ホスト男性上座、ゲスト女性下座

④ホスト女性下座、ゲスト男性上座
③と④が一番困るパターンです。女性が下座、男性が上座、というところは同じですが、亭主関白なのか、接待なのかは、お二人の会話と空気から読むしかありません。テイスティングは、③であれば男性にお願いし、④であれば女性にお願いするわけですが、ここは正にソムリエの腕の見せどころであり、探りを入れる質問をお客様との会話に盛り込みつつ、判断していきます。ちなみに、明らかに④と判断出来たケースを除けば、私自身は、男性にホストテイスティングをお願いしております。95年の世界ソムリエコンクール優勝者田崎眞也さんの「ホストテイスティングは男性の仕事」という教え(直接聞いたわけではなく、お弟子さん経由ですが)に従うことにしております。

「脱サラソムリエが本音で語るレストラン利用術」の過去記事はこちら
第5回 ご存知でしたか? レストランのキャンセルマナー
第4回 レストランで希望に沿った席を予約するたった一つの方法
第3回 レストラン利用術「スマートなレストランの入り方」
第2回 レストランで快適な席を用意してもらうための電話予約4つのポイント
第1回 【新連載】脱サラソムリエが本音で語るレストラン利用術

ビストロ アンバロン(BISTRO EN BALLON)

〒106-0031
東京都港区西麻布1-9-7

TEL:03-6438-9699
http://bistroenballon.com/

  • 両角 太郎bistroenballon
  • ビストロアンバロン オーナー

金融業界21年間のサラリーマン時代の食べ手としての経験を生かし、「自分が最も通いたい店」として2009年12月にビストロアンバロンを開店。ミシュランガイド「ボンヌ・プティット・ターブル」にて赤フォークとビブマークの両方の評価を得ている西麻布のフレンチビストロ。
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