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2017/02/28

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グラスによって適量が違う? ワインを美味しく飲むための対グラス適量について考える

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グラスの形状によって、相性のよいワインが異なるのと同様に、グラスによって美味しさを最大限に引き出す適量が違うことはご存知ですか?

ワインを、ワイングラスのどのあたりまで注ぐのが適切かについて、ちょっと考えてみましょう。

ボウルは何のため?

リーデルのさまざまなグラスを見比べていただくと、ボウルの違いがさまざまあることに気づかれることでしょう。

ふっくらとしたものから、シャープなもの……形状も違いますが、小さなグラスと大きなグラスでは、その容量にかなり大きなひらきがあります——「同じワインなのに、どうして?」と思われるかもしれません。

ボウルはもちろんワインを注ぐためのものですが、さるのみならず、さらなる大きな意味が秘められているのです。

ボウルとワインの魅惑の関係

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ボウルのさまざまな役割

ワイングラスにおけるボウルの意義は、もちろん第一にワインを注ぐためのもの。しかしボウルの役割は、それだけではありません。

ふっくらと大きなボウルは、その空間にたっぷりとアロマを溜めるための構造。また、広い空間でたゆとうワインは、たっぷりと空気とふれあいながら呼吸することで、秘めたるさまざまなアロマを開花させます。

反対に、スリムなボウルには、香りを際立たせ、酸を強く感じさせず、フレッシュな果実味と調和させる効果があります。また小さめのボウルには、タンニンや果実味を活き活きと甦らせる作用があるため、熟成したワインの個性を正しく味わうには理想的な構造ということができます。

実は「空間」と「空隙」が大切

つまりボウルは、その空間においてそれぞれのワインが、自分ならではの個性を開花させる舞台、なのです。

たとえかたちがまったく同じでも、ワインのボリュームの違いで、ボウルの大きさが異なる……ということもあり得ます。

そう考えると、ボウル内部においては、ワインが注がれている部分よりも、注がれていない空間、「空隙」の方が、より大切——といえるかもしれません。

すなわち、ワインとグラスの相性を最高のものとするためには、「ワインの注がれていない空間(空隙)をたっぷりとる」ということが重要なのです。

目安は「グラスの最も太い部分よりも、指1本程度下まで」

ワインがその個性を開かせる理想的空隙を実現させるために注ぐべきは、「グラスの最も太い部分よりも、指1本程度下まで」が、目安となります。

実際に注いでみると、「少ないな」と感じるかもしれませんが、香りをとるとすぐに気づくはず。スワリングしなくても、グラスの底から豊かな香りが立ちのぼり、軽くグラスを揺らせば、ワインに秘められたさまざまな香りが開き、次々にとその表情をかえてゆくことでしょう。

ボウルの容量はそれぞれに違います。ちなみに、<ソムリエ シリーズ>の『ブルゴーニュ・グラン・クリュ』グラスは、1050cc(牛乳パック1本以上!)もの容量があり、いっぱいに注げばワインボトル一本(750ml)が軽く納まってしまいます。

したがって、「グラスの最も太い部分よりも、指1本程度下まで」注いだワインの量も、それぞれに大きく異なります。通常、90〜150mlくらいの幅があると思っていただいて、見当はずれではありません。

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量をとるか?質をとるか?

お店でグラスワインを頼んだ時、「グラスの最も太い部分よりも、指1本程度下」までにしか注がれていなかったら、「少ないよ」と思われるかもしれません。

しかし、ひとたびワインのポテンシャルを開かせてくれるこの容量に慣れてしまうと、反対にグラスからこぼれるほどたっぷりと注いでくれるサービスを「もったいないな」と思ってしまうことも。

そんな時の解決策は、「グラスワインではなく、ボトルでワインを頼むこと」。ヨーロッパの諺にも、「飲まないで後悔するよりも、飲んで後悔した方がよい」と言いますし。

Author: 高山 宗東

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  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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