2017/02/07
Column
ワインボトルの美しさを引き立てる! ボトル用コースターでワインをおしゃれに楽しもう
グラスだけでなく、小物にもいろいろと気遣うと、ワインライフはより楽しくなります。今回は、最近では使われることが少なくなったワインボトルコースターのメリットや活用法をご紹介します。
意外に優れモノ! ワインボトルコースター
ワイングッズはさまざまありますが、「ワインボトルコースター」は、あまり耳慣れないアイテムかもしれません。
ワインボトルの下に敷く、多くの場合金属製の、お皿のような道具です。
グラスやソムリエナイフに比べると、必要度の低いグッズのように思われるかもしれませんが、実は、案外優れモノ。
あると便利な、ボトルコースターのメリットをご紹介します。
一家に一枚? いや、それ以上! テーブルに並ぶボトルの数だけあると便利なボトルコースター
そもそものはじまりは?
中世から近世にかけて、もっぱら樽で保管されていたワインは、食卓に供される際には水差しのような容器に入れられるのが普通でした。やがて、ガラスのボトルで保存されるようになると、一般的にはボトルごと食卓にのぼらせることも多々あったでしょうが、貴族の晩餐会などではボトルからキャラフェに移し替えてワインを供するようになります。キャラフェへの移し替えは、形式的な理由ばかりでなく、澱などを除去する目的もありました。
この頃にワインボトルは、多くの場合重心が下に置かれた、どっしりとした、日本の のような形状をしていました。保存や運送の際の安定をはかったかたちといえるでしょう。
ワインボトルのスタンダードが現在のような縦長のシルエットになったのは、18世紀の終わり頃1790年代のこと。この頃、イギリスを中心にワインビジネスが盛んになったため、経済原理に従って安定よりも効率がはかられるようになり、縦長ボトルを箱に入れて運搬するようになった、と考えられます。
スタイリッシュな縦長のデザインによって、食卓にワインをボトルごと持ち込むことに、ますます抵抗が薄れていきました。
この頃、ワインボトルを食卓にのぼらせる際に、籐などを編んだバスケットが用いられることがありました。より高級な晩餐会においては、バスケットに代わって銀などでボトル入れが作られることも。これが、ボトルコースターの起源のひとつ、といえそうです。
ボトルコースター普及にひと役かった、パスツールと製氷機
19世紀中葉、細菌学者パスツールの研究により、ワインの品質は飛躍的に向上しました。菌の過剰繁殖が圧倒的に抑制されたことにより、ワインの澱を除去する必要が少なくなり、ますます食卓においてワインが、ボトルごと供されるようになります。
またこの頃、製氷機が徐々に普及しはじめ、暑い季節には、ワインを冷やして供することが可能になりました。冷やしたボトルを温度の高い部屋に置けば結露し、いわゆる「汗をかいた」状態になります。
このような背景を得て、ワインボトルの雫がテーブルを濡らさないように、また、赤ワインなどのシミがテーブルクロスを汚さないように、と皿型のボトルコースターが普及していった、と考えられます。
こんな時に限って!を回避
暑い季節に、キンキンに冷やしたスパークリングワインや白ワインは美味しいもの。しかし、ボトルの結露がテーブルに溜まると、痕が残ってしまうことも。
ボトルコースターを用意しておけば、そんなリスクは回避できます。もちろん、赤ワインのシミもテーブルに残りません。
クラシックな木目の家具、特別なお客様の時にだけ敷く、汚してはいけないテーブルクロス……そんな時に限って、ワインボトルのシミをつけてしまう。そんなジンクスをお持ちの方には、是非ともボトルコースターのご使用をおすすめします。
Author: 高山 宗東