2017/02/01
Column
健康への効果にも注目されるワインの構成要素「タンニン」とは?
ワインの味わいは、甘味、酸味、渋味などのバランスによって構成されています。このうち「渋味」は、主にぶどうの果皮に含まれるタンニンに由来しています。その他にも種や樽などに由来するタンニンもあり、ワインの味わいに大きく影響を与えています。
さまざまな効果をもたらす「タンニン」
タンニンは、黒ぶどうの果皮や植物の葉などに含まれるポリフェノールの総称。その語は、なめし革をつくる際に使用されたことから、「皮をなめす」という意の「tanning」に由来します。
「渋味」というと、味覚的にはネガティヴな印象があるかもしれませんが、ワインにとってはさまざまな効果をもたらしてくれる、必須の成分なのです。
ワインの熟成にも欠かせず、健康効果も
タンニンがおよぼすワインへの効果
ことに赤ワインにとって、ほどよい渋味は味わいの奥行きをグンと深めてくれるもの。また「とろけたタンニン」などと表現される、熟成感のある渋味は良質な赤ワインの試金石でもあります。
またタンニンには、熟成時に酸化を防ぐ効果があります。白ワインにくらべ、より多くのタンニンを含む赤ワインの方が長期の熟成に耐えるアイテムが多いのもこのため。長い熟成の時を経ると、タンニンはやがて澱となります。長期の熟成を遂げた赤ワインの澱は、そもそもはタンニンに由来するものなのです。
癌、高血圧、心臓病、動脈硬化、認知症にも効果が?!
赤ワインに含まれるポリフェノール、その中でも特に「レスベラトロール」という成分に動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用があるということは、「フレンチパラドックス」の項目でもご紹介しました。
長くストレスを受け続けると、体内では活性酸素が成製されます。酸化力の強い活性酸素は、体内の細胞を傷つける場合があり、これが病気や老化の原因となる、といわれています。
抗酸化力の高いポリフェノールには、活性酸素を体内に放出する作用があるため、癌や高血圧、心臓病に効果的である、と考えられているのです。さらに、名古屋市立大学大学院の岡崎教授に発表によれば、レスベラトールには「認知症予防効果が期待される」とのこと。
女性には、「肌細胞の維持すなわちアンチエイジングに効果的」という報告が気になるところかもしれません。
タンニンを摂り過ぎると便秘や鉄分不足などの症状を引き起こす可能性があるため、摂取量には注意する必要がありますが、食生活に上手に取り入れれば、健康効果を期待してもよさそうです。
食生活に上手にタンニンを取り入れてみよう!
タンニンはお茶やコーヒー、赤ワインなどに多く含まれています。食事と共に……ということであれば、ワインとの組み合わせがお手軽かもしれません。
タンニンを多く含んだ重厚な赤ワインと相性が良いのは肉料理。ジューシーなステーキや濃厚な煮込み料理に、重厚な赤ワインがマリアージュするのは、タンニンの収斂性が口中をリセットし、さらに食欲をかき立てるからに他なりません。ちょっと変わった組み合わせとしては、渋味のある赤ワインと和風のモツ煮込みなどもおすすめです。
またタンニンは、チーズや生クリームなどの乳系のまろやかさや、オリーブオイルや胡麻油などのオイリーなニュアンスとも相性抜群。鯵などの青魚の塩焼きや、塩を振り葱などの薬味を添えた冷奴などにたっぷりとオリーブオイルや胡麻油をまわしかけると、驚くほど濃厚な赤ワインにマリアージュします。
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Author: 高山 宗東