2017/01/13
Column
カジュアルにワインを楽しむ ワインタンブラーの魅力とは?
「ワイングラス」というと、ステム(脚)のついたシルエットをイメージする方が多いかもしれませんが、最近、脚の無いタンブラー型のワイングラスの人気が、メキメキと高まってきています。
今回は、脚付き、脚無し、それぞれのワイングラスの魅力についてのお話です。
ワイングラスにおけるステムの意味とは?
もののかたちには「意味」があります。
たとえばワインボトルの底。底につけられた凹凸は、液中にワインの澱を浮遊させずに、底に溜めるための工夫です。したがって、澱の出やすい赤ワイン用ボトル底部の凹凸は深く、澱の出にくい早飲みタイプの白ワイン用ボトルの底には凹凸があまりありません。
では、グラスのステムは何のためにあるのでしょうか?
今、どうしてタンブラー型ワイングラスの人気が高まっているのか?
ワイングラスにおける「ステム」の意義
ワインを美味しく味わうためには、いくつかの必要条件があります。
まずは、そのワインのスタイルやぶどう品種の個性を表現するために、適したかたちのグラスを選ぶこと。そして、飲みはじめる頃合いを見計らって抜栓し、必要であればデカンタージュなどして、そのワインの個性が存分に開くように配慮します。
さあ、ワインを飲もうという時、最も重要なのが温度です。赤ワインは14~16℃、樽香の効いたボディの厚い白ワインは10~13℃、軽めの白ワインは6~9℃、スパークリングワインや甘口のデザートワインは2~5℃というのが一般的な目安。レストランなどでは、ソムリエさんなどの配慮によって、ちょうど飲み頃の適温でワインが供されます。
この時、グラスのボウル部分に手をかけると、掌の熱がワインに移り、せっかくの適温が変化してしまう−−そのような影響が極力無いように、ワイングラスにはステムがつけられているのです。
日本の日常に増えてきた「気軽に楽しめるワイン」
このような配慮を以て扱わなくてはならないのは、ブルゴーニュの名醸や、ボルドーの格付の高いシャトーものなど、古典的スタイルのワインです。こうしたスタイルのワインは、その真価を堪能するためには、温度や抜栓のタイミングなど、細やかな配慮が必要になります。
一方で、気候に恵まれたニューワールドで育まれたワインは、リリースされた時がもう飲み頃。果実の段階で充分に熟成しているため、細かい配慮をしなくても、気軽に、美味しく楽しむことができます。こうしたスタイルのワインは、味香のストラクチャーがしっかりしており、またポテンシャルもあるため、必ずしも飲み頃温度にこだわる必要なく、幅広い飲み方に対応します。
このような「気軽に楽しめるワイン」が現在、私たちの日常には増えてきています。こうしたワインにぴったりなのが、気軽に楽しめるタンブラー型のワイングラスなのです。
タンブラー型ワイングラスの魅力
ステム付きワイングラスは、何といってもそのスタイリッシュなシルエットが魅力。しかし家庭においては、しばしば収納に悩まされます。この点、タンブラー型は収納力抜群。また、倒れにくく、割れにくいので、小さなお子様のいるご家庭でも安心。日本の生活環境に、溶け込みやすいデザインなのです。
ワイングラスをもっと身近に!
リーデルにも、ステムの無い「リーデル・オーシリーズ」があります。
ワインを正しく味わうためにかたちづくられたボウルの形状はそのままに、ステムを省略したデザインは、持ち運びもしやすく、ピクニックやバーバキュー、お花見など、アウトドアでも楽しんでいただけます。
ステム付きワイングラスを用いた古典的なワインの楽しみ方はそれとして、リーデル・オーシリーズのフットワークの軽さは、ワイングラスを使うシーンの幅を広げるものといえるでしょう。
ワインがもっと身近に感じられる……そんな気軽さが、タンブラー型ワイングラスの人気の秘密なのかもしれません。
Author: 高山 宗東