2016/12/20
Column
ラベル(エチケット)を読み解く意外な方法――ジャケ買いのすすめ
ワインのラベル(エチケット)には、さまざまな情報が記されています。しかし、ある程度の基礎知識がないと混乱してしまうことも。そんな時、基礎知識が一切不要なラベルの読み方があります。
意外に解りづらい「ラベルの読み方」
ワインラベルは、ボトルの中のワインの特徴を端的に示したもの――で、あるはずなのですが、初心者には……いえ、ある程度ワインに親しんでいる人にとってさえ、案外解りにくいものもあります。
きちんとしたラベルの読み方はまたの機会にお話するとして、簡単なラベルの読み方をお教えします。
視点を変えてラベルを見れば……
ラベルに記されたワインの情報
ワインを選ぶ時、まず目に入るのはラベルでしょう。
ラベルには、ボトルの中のワインの基本的な情報が記されています。その内わけは、ワイン名、ワイナリー名、造り手、葡萄を収穫したヴィンテージ、等級、使用葡萄品種名、原産国、生産地名・地区名、原産地呼称、アルコール度数などですが、それらの記載内容はまちまちで、必ずしも統一されていません。
また、個々の記述に見出しがついているわけではないので、あらかじめ産地や地区、葡萄品種名など、ある程度の固有名詞を知っておかないと、その記述が何を指しているのか解りにくく、混乱してしまいがちでもあります。
ラベルを理解しようとすると、かえって混乱してしまう……ワインに慣れないうちは、しばしばそんなことが起ります。
ラベルを鑑賞してみる
ラベルから内容が掴めなかった際には、視点を変えて、ラベルそのものを眺めてみることをおすすめします。
デザインとして見ると、伝統的なもの、シンプルもの、ポップなもの、幻想的なもの、芸術的なもの……などなど、ワインラベルにはさまざまなタイプがあることが解るでしょう。また、同じくシンプルなデザインの中にも、シンプルかつエレガントなもの、シンプルかつ合理的なもの、シンプルかつナチュラルなもの……と、いくつかの傾向を見出すことができるでしょう。
ラベルには造り手の哲学や個性が反映している
実は、ほとんどの場合、ラベルのデザインは、ワインスタイルの味わいとイコールで結ばれているのです。
デザイナーや画家に発注したものであっても、最終的にラベルのデザインを決定しているのはその造り手。自ら造ったワインへの思い入れが深ければ深いほど、造り手はラベルデザインもおざなりにはしません。したがってラベルには、造り手のセンスや性格、哲学やメッセージが滲み出ている……ことが多いのです。
伝統を重んじる造り手のラベルは何百年も前から同じデザイン、軽やかに楽しく飲んで欲しいワインにはPOPなデザイン、とにかく売りたいワインにはとにかく売れそうなデザイン……などという具合に、大抵、中身に相応しいラベルがつけられている――ことが多いのです。
意外に有効! ジャケ買いのすすめ
ラベルの見どころは、デザインだけではありません。たとえば、紙質にこだわっている……というような造り手さんは期待大。赤ワインはクラシックな風合いの紙なのに、スパークリングワインや白ワインのラベルは、アルミ箔やラミネート加工を施している――というようなケースもあります。これは、スパークリングワインや白ワインは飲まれる時に、氷水でボトルを冷やすことが多いため。水でラベルが剥がれてしなわないようにとの配慮なのです。つまり、「晴れ舞台でラベルを輝かせたい」との親心。こんなところにまで気遣う人が造ったワインは、丁寧な味わいがするに違いありません。
もちろん、ラベルの印象はあくまでも手がかりに過ぎません。しかし、もしラベルを見て「気になるな」と感じたワインがあったら、あなたと、そのワインの造り手のセンスには、何か共鳴する部分があるのかも。それは充分に、そのワインを選ぶ理由となるでしょう。
Author: 高山 宗東