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2016/10/28

Column

パーカーポイント95点、勝山酒造「暁」の2つのテイスティングコメントからみる、ワイン人(びと)、日本酒人、それぞれが見た「暁」

akatsuki

「FF」の文字を見て、往年のゲーム好きが思い浮かべるのは「ファイナル・ファンタジー」ですが、ワインの世界で「PP」といえば、ロバート・パーカー氏によるワイン評価法「パーカー・ポイント」です。

ロバート・パーカー氏は、このパーカーポイントという独自のワイン評価法において「100点満点方式」を採用することで、ワイン業界内外に大きな影響を与えました。

ぶどう品種や産地、生産者などについての知識をあまり持ち合わせていないような人でも、「ロバート・パーカーというすごいワイン評論家が、90点をつけたワイン」と聞けば、それが100満点の中でどのような評価を得たワインなのかが一目瞭然、はっきりと分かるようになったのです。

日本酒の分かりにくさ解消の起点となるか?

「おいしいワインください」

ワインショップの店員さんがよく聞かれる質問のひとつで、もっとも答えに悩む質問のひとつ。

「おいしさ」って人それぞれに異なりますから、その人にとっての「おいしい」が、どんなワインを指しているのか、ピタリと当てるのは、大変難しいのです。

この「おいしさ」を、 ボクシング選手の「強さ」に置き換えて考えてみます。

現在、ボクシング界には世界的に主要なものとして、WBC, WBA, WBO, IBF という4つの団体が存在します。

そうすると、 各団体ごと、また体重別の階級ごとにチャンピオンが存在することになります。かなりの数の「チャンピオン」がいるわけです。

「この選手は、WBAのヘビー級のチャンピオンで、こっちの選手はWBCのヘビー級チャンピオン」という感じです。 ちょっと分かりにくいですよね。

どの団体の「ヘビー級チャンピオン」が一番強いんだ?と考えたくなるのが自然ですよね。

この各団体・階級別のチャンピオン同士が戦うのが「王座統一戦」で、その勝者が「統一チャンピオン」なのです。

パーカーポイントは、この「王座統一戦」、しかも全団体参加による統一戦のように、ワインのタイプや価格帯という垣根を越え、すべてのワインをブラインドでテイスティングし、同じ「100点満点方式」で評価をすることが大きな特徴です。

そのため、パーカー氏の審美眼にかなうワインであれば、そのワインが10万円クラスのワインでも、2,000円台のワインでも、95点を超える最高評価が与えられ、ときに、低価格で高評価を獲得したワインの価格が一気にハネ上がってしまう現象が起こったりします。

パーカーポイントには、パーカー氏自身の嗜好が色濃く反映される傾向があることや、点数ばかりが一人歩きしてしまっている、などと賛否分かれる面もありますが、100点満点方式の分かりやすさが、日本酒選びのひとつの判断材料として、その裾野を広げるというメリットを発揮してくれればと願います。

ワインと日本酒、その垣根が低くなってきた

今回の日本酒版パーカーポイント発表の件では、ワインの世界で確固たる存在となった「パーカー・ポイント」による評価方法が、日本酒の世界に持ち込まれました。フレンチレストランで日本酒がリストに載せられることが珍しいことではなくなってきつつある昨今の状況を考えると、決して不思議なことではありません。

グラスの世界でも、ワインと日本酒の垣根は大きく下がってきています。リーデル「大吟醸グラス」はその最初の代表例かもしれませんが、多くの飲食店で、日本酒のサービスにワイングラスが活用され始めています。

ワインの権威が見た「暁 -AKATSUKI-」と蔵元が表現する「暁 -AKATSUKI-」

11月18日(金)に行われる「リーデル青山店 日本酒イベント第2弾 -勝山酒造-」では、前述の「パーカー・ポイント」で95点を獲得した勝山酒造の「暁 -AKATSUKI-」をはじめ、日本最大の鑑評会のひとつ「sake Competition 純米吟醸の部」で2年連続日本一に輝いた「献 -KEN-」などを、複数のワイングラスで飲み比べます。同じ日本酒が、グラス形状によってその表情を大きく変える様を感じてください。

庄司がもっとも注目するのは、パーカー・ポイント審査時のコメントと、勝山酒造さんによる「暁 -AKATSUKI-」の表現の違い。

このブログで全ては掲載できないのですが、審査時のコメントでは「岩山」「ミネラル」「フリント」「大地」「柑橘」「ピーチ」という表現が見受けられますが、蔵元によるコメントでは「艶やかさ」「透明感」「ふくよかさ」という側面が、表現の主軸になっています。

このコメントの差異は、はたして「ワインに根っこをもつ人」「日本酒に根っこをもつ人」の感性の違いなのか、もしくは「同じものを見ていながら、選択する言葉の違い」というテクニカルな問題なのか。

イベントの打ち合わせでは、イベントにも参加していただく、勝山家13代目にあたる伊澤優花さんから、蔵元ならではの視点での指摘も伺えました。

本イベントでは、両者のコメントを踏まえながら「暁 -AKATSUKI-」を実際に試飲し、「ワイン目線」「日本酒目線」の違いをご自身で感じ取って頂きつつ、考察を深めて頂ければと思っています。

いま世界でもっとも注目される蔵元のひとつ「勝山酒造」。その「透明感」と「芳醇さ」が高次元で両立した日本酒の魅力、酒造りの哲学を、伊澤優花さんの解説と共に味わいましょう。

イベント概要


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日程 2016年11月18日(金)
時間 19:00〜20:30(受付開始:18:45〜)
会場 リーデル青山本店
講師 伊澤優花(勝山酒造 海外担当・マーケティング補佐)、木村光(公界)、庄司大輔(チーフ・ワイングラス・エデュケイター)
人数 20名様
参加費 ¥8,640(税込)/お一人様
※参加費には、セミナーで使用する日本酒代、お土産としてお持ち帰りいただく「<ヴィノム> 大吟醸グラス(ステムあり)」と「リーデル オリジナル・クロス」が含まれます。
お申込み お申込みはコチラから

Author: 庄司 大輔

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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