2016/08/24
Column
イタリアワインの王様「バローロ」の力強く、厳格な味わいの秘密とは?
イタリアワインというと真っ先に名前があがるもののひとつに「バローロ」があります。その力強く、品格高い味わいは、世界の赤ワインの中でも屈指の実力を誇ります。
濃厚にして豊潤、格調高き赤ワイン
バローロといえば、「イタリアの美味しい赤」として、真っ先に思い浮かぶアイテムのひとつ。あまたの名ワインを生み出すピエモンテ州の中でも、「ワインの王にして、王様のワイン」と呼ばれるバローロは、力強く、濃厚にして、芳醇な味わいが特徴です。
伝統とモダン
ネッビオーロ単品種から造られた魅惑の味わい
ピエモンテを領有し、15世紀にサヴォイア公国をつくったサヴォイア家は、そのルーツをブルゴーニュに持っていました。
ブルゴーニュ地方といえば、ピノノワール単品種で造られる赤ワインの産地として有名です。こうした影響からでしょうか、バローロもネッビオーロというぶどう単品種で造られます。モノセパージュという醸造スタイルは、大きく歴史的影響を受けていると考えられるのです。
ミクロクリマの研究によって進化するバローロ
ひと昔以前まで、バローロといえば扱いが大変難しいワインでした。
濃厚なタンニンとしたたかな酸は、長期の熟成期間を要し、飲み頃は20年とも、40年ともいわれたもの。また、透明感のある煉瓦色に熟成したそのワインも、抜栓後2日たたないと、真の個性を開かせない——などといわれました。
保存からサービスに至るまで、さまざまな配慮が必要であればこそ、その高貴な味わいは王にも喩えられたのです。
しかし近年、地域を細分化して、テロワールの特徴を考究する、ミクロクリマの研究が、さかんにおこなわれるようになりました。
この結果、果実味が豊かで、より繊細な香りをもち、かつ濃厚な旨味を表現するモダンなタイプのバローロが造られるようになり、熟成期間も短めで美味しく飲めるアイテムが増えてきました。
さらに、畑ごとの個性を表現する「クリュ・バローロ」というスタイルも注目されています。これは、単一の畑(クリュ)のぶどうのみを用いる手法で、ヴィンテージやテロワールの特徴を表現しやすく、ダイレクトに風土が感じられるワインです。
ワインのスタイルの変化に合わせ、マリアージュするグラスも変化
旨味濃厚で香り高い近年のモダンなタイプのバローロには、ヴィノムのブルゴーニュグラスをおすすめしています。すぼまった口から繊細でフローラルな香を探知することができ、また飲み込む時に咽喉が上を向く構造から、口に入ったワインが横に広がらずに、旨味や果実味を感じやすくなります。
ワインのスタイルの変化に合わせ、ベストマリアージュのグラスも変わっていきます。もちろん、モダンなタイプのバローロにもさまざまなスタイルがありますから、たくさんのグラスを試して、あなただけのベストマリアージュを見つけてみてはいかがでしょう?
Author: 高山 宗東