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2013/06/10

Column

【第3回】ワインの楽しみ方をひも解く新連載。ゲストは佐藤隆正さん。

ゲスト:佐藤 隆正さん(パレスホテル東京 シェフソムリエ)

グラスとワインの密なる関係を、日本で広める事に尽力した人物として知られているウォルフガング・アンギャル氏が、毎回ゲストを迎え、Wine Enjoymentの世界をひも解きます。

第3回のゲストは、パレスホテル東京のシェフソムリエであり、第2回JETCUP優勝者の佐藤隆正氏。

今回の対談は、ワインサービスの醍醐味、デカンタージュを試みながら、実用性からエンターテインメント性まで、多様なサービスの本質に迫ります。

デカンタージュの目的と効果とは?

アンギャル:デカンタージュの達人としても知られている佐藤さんですが、どのようなときにデカンタを使ってサービスされますか?

佐藤:日本のレストランでは、主にワインから澱を分けるために使いますね。逆に、アンギャルさんが海外のホテルでサービスをされていたときは、どのようなシーンでお使いになっていたのか知りたいです。

アンギャル:デカンタージュには三つの目的があります。まず一つめは、佐藤さんがおっしゃった澱とワインを分けるため。二つめは、ワインに多くの空気を触れさせ、味わいや香りを高めるためです。古酒に限らず、若いワインもデカンタージュします。

佐藤:タンニンが丸くなったり、酸味がやや穏やかになったり、若いワインはデカンタージュすることでバランスがよくなることがありますよね。

アンギャル:例えば、微発泡している若い白ワインをデカンタージュすると、ワインに含まれる二酸化炭素が抜けて、クリーンでピュアな味わいになります。

佐藤:私は、ふだん家で飲む若いワインでもデカンタージュします。赤ワインに限らず白ワインでも、香りと味わいがぐっと引き立つので、高級ワインを飲んでいる気分になります(笑)。ところで、デカンタージュの三つめの目的は何でしょう?

アンギャル:三つめは、エンターテインメント性です。多くのお客様に見て喜んでいただけますし、レストランの好感度アップにもつながります。同じワインを飲むなら、あのレストランで飲みたいと思っていただけますね。海外では良いサービスをすると、チップがたくさんもらえますよ(笑)。では、実際にリーデルのデカンタ『イブ』を使ったデカンタージュを実演してみましょう。

佐藤:これは蛇をかたどったデカンタでしょうか?

アンギャル:そうです。でも、見た目だけではなく、この形ならではの機能性が備わっているのですよ。(とデカンタージュを実演)

佐藤:すごい!音が鳴っていますね。空気が入っているのでしょうか?

アンギャル:その通りです。そしてこの蛇の胴体の一番太い部分で止めると…… ちょうど一杯分のワインがとれる仕組みです。

佐藤:それは機能的ですね!飲み比べると、味、香り共に全く違います! より複雑で豊かな味わいになりますね。

新しいサービス
グラスワインをデカンタージュ!

佐藤:日本もチップ制なら、デカンタのパフォーマンスを競ってやると思いますね(笑)。しかし、日本では「サービスの平等性」も求められるので、海外のレストランとは少し事情が違うこともあります。

アンギャル:サービスの平等性ですか?

佐藤:例えば、あるテーブルのワインをデカンタージュして、ほかのテーブルのワインでしなかったとすれば、不公平だと感じるお客様もいらっしゃいます。どのテーブルも同じように扱ってほしいと。

アンギャル:なるほど。繊細な心づかいが求められる日本ならではの一面ですね。

佐藤:日本でエンターテインメント的なデカンタージュを試みるなら、グラスワインで取り入れたらどうでしょう?「今日のグラスワインは、デカンタージュしてサービスいたします」と言えば、特別な印象もありますし、グラスワインを注文したお客様すべて平等にその美味しさを提供できますしね。

アンギャル:とってもいいアイデアですね!もっとレストランでも家でも、目的に合わせたデカンタを使い分けてワインを楽しんでほしいですね。

佐藤:私も雰囲気を盛り上げるデカンタージュの技を磨かなきゃなりませんね!(笑)

対談を終えて、アンギャル氏の一言

佐藤さんのサービス精神溢れるアイデアにとても感動しました!彼のように自由な発想で、日本の皆さんにもっと気軽にデカンタを使って楽しんでいただきたいと思います。

【コラム】目的に合わせたデカンタ選び

「デカンタ」には、様々なデザインと形があり、目的にあった形状のデカンタを選ぶことが大切。

デカンタージュには①「澱とワインを分ける」、②「味と香りを高める」、③「雰囲気を盛り上げる」の3つの目的がある。

①の場合には、ゆっくりと注ぎやすい、口広で安定性のいいデカンタ「チロル」がお勧め。ポイントは、空気との接触を抑え、静かに注げること。古酒なら清澄度を上げ、ゆっくり目覚めさせることができる。

②が目的の場合には、ある程度の高さがあり、ワインを空気と触れ合せることができる「ウルトラ」がお勧め。

③の目的には、ハンドメイドのデカンタ「イブ」はいかがだろう。とぐろを巻いて首を持ち上げた蛇をイメージさせるユニークなフォルム。ワインが流れるときには、蛇がのどを鳴らすようにゴボゴボと音を出しつつワインと空気が攪拌され、グラス1杯分をのど元に取り分けることができる。ネックが長く、テーブルの奥に座っているゲストのグラスにも無理なく鮮やかにワインを注ぐ事ができ、レストランでの魅力的なパフォーマンスにもぴったり。

まずは、目的に合わせて形状、サイズを選んでデカンタージュをしてみよう!

① 澱を分けるなら

② 味と香りを高める

ゲストの選んだ1脚

プライベートでも仕事でも愛用しているのが< デカンタ シリーズ >の『カベルネ マグナム』
口が広いのでワインをデカンタに移すときにこぼれにくく、安定して注げるので使いやすいですね。ワインボトル2本分入る余裕があるので、より空気に触れさせやすくなっています。家では若いワインをデカンタージュするときにも使っています。(佐藤隆正さん)

佐藤 隆正氏プロフィール

佐藤 隆正さんTakamasa SATO

1989年に「帝国ホテル」に入社、ソムリエとしてスタートを切る。2008年「イタリアワイン ベスト・ソムリエ・コンクール」(JETCUP)優勝、イタリア政府観光局よりイタリアワイン大使の称号を授与される。12年より「パレスホテル東京」シェフソムリエに就任。

ワイン王国

ワイン王国

この記事は2013年6月5日(水)発売「ワイン王国 No.75」に連載されました。
こちらからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
ワイン王国 PDF(1.1MB)

  • Wolfgang AngyalWolfgang Angyal
  • リーデル・ジャパン代表取締役社長/リーデル社認定シニア・ワイングラス・エデュケイター

1965年オーストリアのチロル地方、クフシュタイン生まれ。 ホテルのサービスマンをしていた1985年、大阪で開催された第28回「技能五輪国際大会(World Skills Competition)」のレストランサービス部門に、オーストリア代表として参加。金メダルを受賞する。その後1年間、「辻学園 日本調理師専門学校」等で教授を務めるうち、日本の風土に惚れ込み移住を決意。オーストリアと日本をつなぐアイテムとしてリーデルグラスを選び、1989年よりその有用性を広める活動に専念する。2000年「リーデル・ジャパン」(現RSN Japan株式会社)代表取締役社長に就任。グラスとワインの密接なる関係を、最初に日本人に認識させた人物として知られている。
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