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2012/09/11

Column

<コーラはビンが美味しいの?> 問題からひもとく、ワインとグラス形状の不思議な関係

みなさんこんにちは、コーラ大好き★ な庄司です(^^)

<コーラはビンが一番うまいか?問題> については、
グラスの形状と味わいの印象の関係から、ある一定の回答を見つけることができます。

「ビンが最高」かどうかは別としても、もし中身のコーラが全く同じ物だとしたら、
少なくとも、ビンと、缶と、ペットボトルと、ストローで飲んだときに、
コーラの印象は変わってくるはずなのです。

これは、いったいどういうことなのでしょうか・・・?
photo credit: ianimmortal via photo pin cc


photo credit: Alfred Weidinger via photo pin cc

グラスからワインを口に含んだとき、
ワインは舌の上を流れて喉の奥へと消えてゆきます。

ところが、
グラスの形状が異なると「舌の上でのワインの流れ方」は大きく変化するのです。
そしてこの「ワインが舌の上のどこをどう流れるか」によって、
ワインの印象が決まってくるのです。

そうであれば、
「美味しいね★」「こういう特徴があるワインなんだ★」
と感じられるグラス形状で飲まないと、やっぱり損ですよね(^^)

★ ワインを「触覚」で感じてみる
ここで、少し困った問題がでてきます。
普段私たちがワインを飲むときには、
どうも「嗅覚」や「味覚」を主に使用しているように思えるのです。

「いまワインが舌のどの部分を流れているか」 という「触覚」には、
あまり注意が払われていないのが普通です。

そこで、
庄司が行う <グラステイスティング・セミナー> では、
具体的に2つのポイントに絞ってワインを感じて頂くことにしています。

1)ワインと舌が、いちばん最初に舌のどの部分で接触しているか?
2)(1)のあと、ワインは舌の上のどの部分を、そのように流れてゆくか?

実は、この2つの現象を決定づけているのが、ボウル形状なのです。
リーデル社が、なぜボウル形状にこだわり続けているのか、
その全ての根源がここにあります。

★ なぜ、グラス形状でワインの流れが左右されるのでしょうか?
たとえば、酸味の強い白ワインの代表的な一つ ソーヴィニヨン・ブラン

もし、下の写真にあるようなグラスでワインを飲んだとしたら、
「酸っぱすぎて」「エグ味が強く残る」 そんな印象になるはずです。


photo credit: wheany via photo pin cc

実際に飲まなくても、このグラスを傾けてみればわかります。
すぼまりがほとんど無く、液面から飲み口までの距離も短いため、
恐らくグラスを30度傾けるころには、ワインはこぼれ出てしまうでしょう。

このような形状のグラスで飲むとき、
私たちの顔は、必ず、水平よりも下向きになっているのです。
(顔を上に持ち上げる必要がない・・・とも言えるでしょう)

そしてワインは舌の上で広がりすぎて舌の両サイドからこぼれ落ち、
舌の裏側や歯茎の方へと流れ込んでしまうのです。

これが「酸っぱい」「エグい」の大きな原因の一つです。


<ソーヴィニヨン・ブラン> グラスは、このブドウ品種のために選定された形状です。

グラスに適量のワインを注いで、グラスを傾けると・・・どうでしょう?
ほぼ90度グラスを傾けないとワインが出てきません。
「タテ長の卵形」と「強いすぼまり」が、ワインをしっかりとキープするからです。

人間が食事をするときには、必ず顔が下を向きます。
その顔の向きのままでワインを飲もうとしてグラスを傾けようにも、
飲み口が鼻にぶつかって傾けることができません。
これではワインが飲めませんね。

★ グラス形状は、ワインを飲むときの顔の角度を左右します
グラスを傾けてワインを口に含みたいけど、鼻にぶつかってそれ以上グラスを傾けることができない・・・。
こんなとき、どうしたらいいのでしょうか?

下の写真の女性のように、顔を持ち上げるしかありませんね(^^)
しかもこの女性、さらにタテに長いフルートグラスでシャンパーニュを飲んでいるようですので、
すこし顔が持ち上がっただけでは、まだシャンパーニュが口元までやってきていないようです(^^)


photo credit: muitosabao via photo pin cc

顔が持ち上がると、舌先上がりの状態になります。
そのような状態になって初めて、ようやくワインが口中に入ってきます。
ワインと舌は、自然と、舌先で出会うことになるのです。

そのままゴクリ!
ワインは広がらずに直線的な流れでのどの奥へと消えてゆき、
後には、さわやかな果実味と酸味とほろ苦さのバランスのとれた余韻が残ります★

★ グラスの口径が、ワインの流れの幅を左右します
そしてもう一つ、「飲み口の口径」です。
もう一度、上の写真を見てください。
顔の向きではなく、唇の形です。
「う」と発音するように、すぼまっていますね。

飲み口の口径が小さければ小さいほど、
ワインを飲むときの唇はすぼまってきます。

唇の形は、ワインが口に入ってくる流れの幅を決定しますから、
唇がすぼまっていれば、細い幅の流れになります。

唇がすぼまっていると、口に流れ込んでくるワインは幅が狭くなりますから、
量が少なく、横に広がりにくくなるはずなのです。

ストローで飲むときなどは、極めて細い流れとなるのです。


photo credit: –David and Jennifer– via photo pin cc

★ <コーラはビンが一番うまいか?問題> の結論は?


なんで「Lemon Light」なんだ?
というツッコミが聞こえてきそうですが・・・。
写真のグラスは、今は亡き(廃盤になってしまった)<チロル> Pops (#405/21) です。

で、結論なのですが、


どれで飲みたい? と聞かれたら、やっぱりビンを選びますかねー(^^)
ノスタルジーだけではなく、

コーラを飲むときの液体と泡のバランス、
必要以上に甘みを感じない後味がいいんです!

ワインもコーラも、どんな器で飲むかによって、その印象は大きく変わってきます。
ぜひ意識しながら、ワインはもちろん、コーラを飲み比べてみてください(^^)

みなさんは、何で飲むコーラが好きでしょうか!?

  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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