2017/08/31
Column
冷やす?常温? 暑い季節の赤ワインの楽しみ方は?
「赤ワインは常温で味わうもの」——というイメージがありますが、蒸し暑い日本の夏の常温では、生ぬるく感じてしまうことも。どのように温度を管理したら、夏場に赤ワインを楽しむことができるのでしょうか?
暑〜い日本の夏に、美味しく赤ワインを飲むには?
ワインには、タイプによってそれぞれ適温があります。
赤ワインは14~16℃、樽香の効いたボディの厚い白ワインは10~13℃、軽めの白ワインは6~9℃、スパークリングワインや甘口のデザートワインは2~5℃。しかしこれはあくまでも目安。「白ワインだけれど、少し温度を高くした方が、香りの要素がたくさん開く」――というケースもあるので、あまり神経質になりすぎる必要はありません。
赤ワインの適温とは?
ポテンシャルを開かせるための温度管理
ワインの中には、さまざまな香りや味わいが秘められています。
セラーの中で静かに眠りについていたワイン。抜栓され、空気とふれあい、徐々に温度があがることで、その香りや味わいは開きはじめ、さまざまな表情を見せてくれます。ゆえに、ことに香りや味わいの要素を多く秘めた赤ワインは常温がおすすめ、というわけ。とはいえこれは、夏でも日陰に入れば涼やかなヨーロッパでのお話です。
最高気温が30℃を超え、夜も熱帯夜が続く、湿度の高い日本の夏においては、なかなか「常温で」というわけにはいきません。
赤ワインを、飲み頃の温度にいざなう方法
夏場の日本では、赤ワインを飲みごろの14~16℃に設定するのは至難の技。常温ではほとんど人肌になってしまいますし、冷蔵庫に入れたのでは冷えすぎ。冷やしすぎるとせっかくの香りや味わいの要素が固く閉じてしまい、酸やタンニンばかりが強調されて、ちょっとキモチワルイ飲み物になってしまいます。
30℃を超える夏場に、赤ワインを飲み頃温度にいざなうには、いくつかの方法があります。
① 冷蔵庫で冷やしたワインを一時間ほど室内に置く
冷蔵庫で冷えたワインを、1時間ほど室内に置いておきます。この時の室温は、その部屋にいる人が、心地よく感じる程度。クーラーなどで温度調整がおこなわれている室温と思えば良いでしょう。
この方法はチーズにも応用できます。冷蔵庫の温度は、ことにナチュラルチーズには、保存には適しても、食べるには冷え過ぎ。食事の一時間ほど前に冷蔵庫から出しておくと、チーズの真価を存分に堪能できます。
② 14~16℃の氷水につけておく
たっぷりと水をはったクーラーに少量づつ氷を入れ、常に14~16℃をキープするように配慮します。ここにボトルをつけ込んでおくと、2時間ほどで理想的な温度となります。
③ ワインセラーを使う
ワインセラーというと、高価な設備のように感じるかもしれませんが、最近では、ワインボトルが数本入る程度の小さなものも多数。中には、1本タイプのセラーもあります。このような小規模セラーは、ワインを長期保存するためというよりも、飲み頃の状態をキープさせるために、とても有効です。
14~16℃にキープしておけば、スパークリングワインや白ワインは、ちょっと冷やせばもう飲み頃。赤ワインはそのままで、すぐに美味しく楽しめます。
実は夏場は“赤ワインの季節”!?
赤ワインには、酸やタンニン、ミネラルなどが多く含まれています。酸は爽やかに舌触り良く、ミネラルは汗をかいて披露した身体に心地よく沁み込み、そしてタンニンは暑さによって衰えぎみの食欲をかき立ててくれます。つまり、夏場の身体は、実は赤ワインを欲している、ともいえるのです。
飲みごろ温度に管理された赤ワインは、意外に口あたりよく、すいすい飲めてしまいますから、どうぞ飲み過ぎには、ご用心、ご用心。