2017/09/12
Column
「アルコール度数の低いワイン」の活用法
「ワインは好きなのだけれど、すぐに酔ってしまって……」
そんな方には、アルコール度数低めのワインがおすすめ。
ワインとひと口にいっても、通常、アルコール度数は7〜14度くらいまでとさまざま。最近では、意図的にアルコール度数を抑えた造りを具現するワイナリーも増えてきています。
ワインとアルコールの関係
端的にいうと「発酵」とは、酵母が、ぶどう果汁に含まれる糖分を二酸化炭素とアルコールに分解する現象です。
したがって、糖度が高ければアルコール度数の高いワインが、糖度が低ければアルコール度数の低いワインができあがります。
しかし、醸造手法によって、アルコール度数を抑制した造りも可能。オーストラリアやニュージーランドなど、甘い完熟ぶどうが収穫されるニューワールドでは、そうした抑制的でエレガントな味わいのワインが主流になってきています。
アルコール度数の低いワインを探すには?
冷涼な地域のワイン
ぶどうは日中に温度があがると糖をたくわえ、夜中に冷え込むと酸をたくわえます。したがって温かい地域で育まれたぶどうは甘く、発酵の際ののびしろが大きいため、アルコールの高いワインになり得る、というわけです。
反対に、冷涼な地域で育まれたぶどうは、その実に糖をたくわえにくいため、ワインに醸した際、アルコールは低くなります。このため、冷涼な地域では圧搾した果汁に糖を加えて一定量のアルコール分を確保する、「補糖」という手法が用いられることもあります。
アルコール低めのワインを探したい場合は、まず冷涼な産地をあたるとよいでしょう。ドイツ、北イタリア、スイス、フランスのアルザス地方などの白ワインには、7〜9度程度とアルコール低めで、綺麗な酸をもつ白ワインがたくさんあります。
醸造手法による低アルコール化
先程もふれたように、アルコールは、ぶどう果汁に含まれた糖分を酵母が分解することで発生します。
と、いうことは、酵母のはたらきを管理したり、あえて完熟していない状態でぶどうを収穫したりすることで、アルコール度数を低めにコントロールすることも可能なのです。
このような手法を用いることにより、通常14度程度になるアルコールを、9度程度に抑えたローアルコールワインが、現在、赤白ともに人気となっています。
また近年、さらにアルコール度数を5度程度まで抑えたワインが多くリリースされ衆目を驚かせましたが、つい先ごろには、アルコール度数わずか2度というイタリアワインまでも発表されています。
低アルコールワイン人気をひもとく
低アルコールワイン人気の一因として、ダイエット効果があげられます。
平均的なワインのエネルギー量は、赤、白、ロゼともに100mlあたり75キロカロリーほど。通常14度前後のアルコール度数を9%ほどに抑えた低アルコールワインのカロリーは、20~30%ほど抑えられています。
また、低アルコールワインは、近年の流行であるライトな食事とも抜群の相性。素材感や香りを活かした、繊細かつ軽快なグルメ志向に、アルコール度数は低くとも、香りは豊潤な低アルコールワインは、「まさにぴったり!」というべきアイテムなのです。
その他の理由も
低アルコールワインにスポットが当たる背景には、嗜好の変化、健康志向、醸造技術の発達などなどが関係しているということが窺えます。その一方で、経済的な要因を指摘する専門家も少なくありません。
ヨーロッパのワイン生産国の多くでは、アルコール度数の高さに従って税金が加算されます。このため、アルコール度数を低くすることは、ワインの価格を抑えるということにも効果的なのです。
美味しくて、食事にもよく合い、健康に良くて、かつコストパフォーマンスも高い——なんだか、「よいことづくめ」の低アルコールワイン。人気が出るのも、当然といえるかもしれません。