2016/09/15
Column
フル、ミディアム、ライト——ワイン用語「ボディ」とは?
レストランでソムリエさんから「どのようなワインがお好みですか?」と訊かれて、うろたえてしまったことはありませんか?
そんなとき、端的明朗に応えるために、「ボディ」という言葉を覚えておくと便利です。
今回は、フル、ミディアム、ライトなどの別がある、ワインの「ボディ」についてのお話です。
知っておけば便利な言葉「ボディ」
ワインの味わいのイメージは、果実味、酸味、渋味、香り、アルコール感などによって形成されています。
ボディとは、これらの要素の総合的な強さをあらわす言葉。総合的に強いインパクトのあるワインが「フルボディ」で、その反対が「ライトボディ」、中間に位置するものが「ミディアムボディ」のワイン、ということになります。
「ボディ」という言葉は、日本語に訳すと「コク」「深み」「厚み」などが、ニュアンスとして近いかもしれません。
ボディは、「品種」や「造り」から
赤ワインのボディはタンニンが目安
赤ワインの場合、タンニンの濃さがボディのひとつの目安になります。
フルボディのワインは、色が濃く、果実味豊かで、酸味も充分にしたたかなアイテム……古くからの名産地や、ニューワールドの寒暖差の大きな畑で造られた、品種でいうとカベルネソーヴィニョン、シラー(シラーズ)、マルベックのような品種が、フルボディのワインに相当します。たっぷりと樽香がつけられたアイテムも少なくありません。
また、キノコや枯れ葉、腐葉土や獣系の香りなど、複雑な香りがするワインも多々あります。
ミディアムボディのワインには、メルロー、サンジョヴェーゼ、テンプラリーリョ、カルメネールなどの品種が多く使われます。フレッシュな果実のニュアンスがあり、口あたり良く、親しみやすい味わいで、汎用性が高く、さまざまなスタイルの食事にマリアージュします。
ライトボディのワインといえば、カベルネフランや若いピノノワール、モンテプルチアーノなどの品種がイメージされます。軽やかな口あたりで、少し冷やし加減で飲んでも楽しめます。
とはいえ、これらはあくまでも目安。ピノノワールでもフルボディのワインはたくさんありますし、ライトボディに仕上げられたカベルネソーヴィニョンワインもあります。また、ボージョレヌーボーで知られるガメイという品種は、色は濃くてもライトボディに仕上がるアイテムが多いことで知られています。
色で見分ける白ワインのボディ
白ワインにも「ボディ」はあります。
たとえばシャルドネなどの品種を用いた、黄色の色調が濃く、旨味・果実味が濃厚で、スパイシーな風味をもち、樽香豊かなワインはフルボディ。
リースリングやピノグリージョ、ヴィオニエなどの品種は、透明感のある淡い黄色の色調、ジューシーで口当たり良く、飲みやすいミディアムボディに仕上げられることがしばしば。
また、ソーヴィニョンブランやミュスカデなどは、爽やかな風味のライトボディのアイテムが多くあります。やや緑がかった、淡い色調が特徴です。
こちらも、品種はあくまでも目安です。
ボディをキャラクターに喩えると……
ワインはしばしば「人」に喩えられます。
ちょっとお遊びに、ボディをキャラクターに喩えてみましょう。
たとえば白のライトボディは、令嬢タイプ、綺麗な酸、優しい果実味、飲み心地など、すべてが控えめでエレガント。しかし決して味わいが薄いわけではなく、爽やかな飲み心地から、育ちの良さが際立ちます。
白のミディアムボディは、若く、魅力的なジューシー女子。誰からも好かれるタイプで、比較的若いうちに飲み頃を迎えます。
白のフルボディは、個性的クールビューティー樽のフレーバーやスパイシーさなど、個性的なニュアンスをたたえた、奥深い魅力があります。個性的な魅力をたたえた、一筋縄ではいかない美女、といったところでしょうか。
赤のライトボディは、軽い味わいで、どこか憎めないチャラ男君。どんなシーンにもチャラっと溶け込み、人を楽しませてくれます。
赤のミディアムボディは、味、香りともにバランスよく、将来設計も見通し良好なイケメン男子。娘が、こんな男子を家に連れてきたら、お父さんは嫉妬しつつも、交際を認めざるをえないでしょう。
赤のフルボディは、頭も良い体育会系男子。筋肉質で、スタイルも抜群。そのうえ、頭も良く、したたかで、将来性も抜群。しっかりとした男性的魅力は、その骨太の骨格に由来するのかもしれません——などと、勝手な妄想を繰り広げながらワインを飲むのも、一興かもしれません。
Author: 高山 宗東