2016/09/20
Column
スワリングはダメ!? ワインテイスティングの基本
レストランなどにおいてボトルでワインを注文した際、ホスト役の人にテイスティングが求められることがあります。そんなときにあわてないために、テイスティングの基本の基本をおさえておきましょう。
テイスティングの手順を心得て、大人力を上げよう
テイスティングとは、色、香り、味わい、印象などを考慮しながら、ワインを分析的に味わうこと。テイスティングには、一連の手順があります。ところが、この手順、公の席とプライベートな席では一様ではありません。心得ておくと大人力が上がる、ちょっとしたマナーをご紹介します。
プライベートな席とレストランでのテイスティング
プライベートのテイスティング
自宅などで、家族や親しい友人たちとワインを楽しむとき、ワインの香りや味わいは、楽しい会話の糸口になります。
ワインの味香を分析的に評価するには、次のような手順を踏むと合理的です。
① ワインをグラスに注ぐワイングラス4〜5分の1程度にワインをそそぎます。テイスティングの際は、少なめに。ワインの状態を感じやすくなります。
② ワインの色調を見る白いテーブルクロスや白い紙を後ろにおいて、ワインの色を観察します。白ワインは淡いグリーンは軽め、黄色味が強いほど濃いというのが基準です。赤ワインは、おおむね色の濃さが味わいの濃さに比例します。オレンジ〜茶色味がかってくると、熟成のサインです。濁りがあるものより、透明感のあるものの方が、状態として好ましいと考えられます。グラスを揺らすと、内側に這ったワインの動きで「粘度」が窺えます。サラサラしたものより、粘度の高いワインの方が、長期の熟成に耐える可能性があります。
③ 香りを嗅ぐまずは静かにグラスを持ち上げ、ボウルに鼻を入れるようにして香りを嗅ぎます。果実や醸造に由来するアロマが感じられるでしょう。次に、グラスの台座をテーブルにつけたまま数回回転させ、立ちのぼる香りを嗅ぎます。これをスワリングといいます。空気とふれあうことでさまざまなブーケが開きます。これを何度か繰り返して、変化する味や香りをチェックします。この時、イメージした香りの要素をメモしておくと良いでしょう。
④ 味わいを見るワインを少量口に含み、少しづつ舌全体に広げていきながら、味わいます。チュルチュルと音を立てて、口中でワインを転がすと、より明確に味わえます。ポイントは、果実味、酸味、渋味、アルコール感をそれぞれ意識しながら拾っていくこと。ワインを飲み込んだ後は、余韻を感じます。長く余韻が続くものが良いワインといわれますが、スッキリと切れ上がるタイプも悪くありません。口を閉じて鼻から空気を抜くと、ワインの印象がより明確になります。
ルールとマナーがある、レストランでのテイスティング
以上、テイスティングの手順をご紹介しましたが、レストランでのテイスティングでは、これをそのままおこなうとマナー違反になってしまうのでご注意を。
レストランなどでは、以下のようなテイスティングの手順が想定されます。
① ラベル&コルクの確認指定したワインに間違いが無いか、ラベルの確認を求められます。ただし、細かくチェックする必要はありません。抜栓の後、コルクが良好な状態であったか、確認が求められます。割れたり、特に異臭があったりしなければ、おおむね問題はありません。ここで、デカンタージュをするか確認が求められることもありますが、ソムリエさんにおまかせしておけばよいでしょう。
② 香りを嗅ぐ静かにグラスを持ち上げ、香りを嗅ぎます。このときのスワリングは、グラスを軽く揺する程度がよいでしょう。レストランでは、スワリングをし過ぎないのがスマートです。
③ ワインを味わう少量口に含み、味わいます。静かに舌に広げ、鼻から空気を抜く程度。口の中でワインを転がして、音を立てたりするのはマナー違反です。特に異常がなければ、「結構です」などとソムリエさんに会釈すれば、テイスティング完了です。
レストランでのタブー
① 自分で注がないテーブル上の食器などは、基本的にサービスの動線が考慮して配置されているもの。グラスが空になっても、自分で注ぐのはNGです。きちんとしたレストランでは、グラスが空にならないように、常に配慮されている、というのがタテマエです。
② ビストロでは男性がリードしましょうボトルがテーブルの上に置かれたビストロなどでは、お客がワインを注いでも、問題ありません。しかし、それは男性の役目。男性が率先して注ぎましょう。
③ 無理をしないテイスティングに自信がなかったら、「テイスティングをお願いできますか?」と、ソムリエさんにおまかせしてしまうのも手です。良いレストランほど、親切に対応してくれるでしょう。
その場に合わせて、楽しいテイスティングを
テイスティングといっても、プライベートとレストランでは結構違うもの。
その場を共有するみんなが楽しめるように配慮しながら、ワインの味わいを楽しみたいものです。
Author: 高山 宗東