2017/09/28
Food
秋が旬の魚「鮭」や「秋刀魚」を使った料理に合うワインは?
「味覚の秋」に旬をむかえる鮭や秋刀魚。これらの魚にワインをマリアージュさせる際のポイントをご紹介します。
ワインと秋の魚のマリアージュ
「魚介には白ワイン、お肉には赤ワイン」——と、ざっくりとしたマリアージュの目安はありますが、鮭なら鮭、秋刀魚なら秋刀魚と素材を絞ると、調理方法などによって、さまざまなマリアージュが可能になります。
旬の魚で、幅広いマリアージュを楽しみましょう。
鮭と秋刀魚
鮭とワインのマリアージュ
食材にワインをマリアージュさせる際、「食材の色とワインの色を合わせる」というひとつの目安があります。
たとえば、牛肉や鹿肉などの濃厚な赤い色の肉には、濃厚な赤ワインが合います。これに対し、鶏や豚などの白系色合いの肉には、白ワインが合います。鴨は鳥肉ではありますが、色みに赤が強いので、しばしば赤ワインを合わせます。
また、同じ鶏肉でも、あっさりとしたササミにはライトタイプの白ワイン、皮の旨味がある胸肉にはミディアムタイプの白ワイン、ジューシーなもも肉には樽の効いたフルボディの白ワイン——という具合にマリアージュさせると、料理とお酒がピタリと寄り添います。
そう考えると、サーモンピンクといわれるほど美しい色合いの鮭に合わせやすいワインはロゼ、ということができるでしょう。味わいの濃い鮭と、ストラクチャーのしっかりしたロゼワインの相性は、まさに絶品。
また、鮭は身の色合いこそピンクですが、分類としては白身魚。身にピンクの色がついているのは、海老など赤色素をもった餌を食べることに由来します。したがって鮭は、白ワインとも相性が良いのです。
また、鮭料理とワインを合わせる際は、調理で加えられる「香り」に注目すると簡単です。
たとえば、ディルなどのハーブを添えたスモークサーモンには、ハービーなユアンスをもつソーヴィニョン・ブランなどのワインがマリアージュします。
キノコを添えてホイル焼きにする際は、エノキやエリンギなど白系キノコが多い場合はヴィオニエなどの白ワイン、椎茸や舞茸などを入れる際は、濃厚なロゼや軽めの赤ワインが合います。
また、鮭のフライを、たっぷりのウスターソースやタルタルソースでいただく際には、料理の味わいが濃厚なため、ミディアムタイプの赤ワインともマリアージュするでしょう。
これは個人的なおすすめですが、スタンダードな和食である塩引き鮭の塩焼きには、キリリと冷やしたリースリングがピタリとはまります。リースリングの綺麗な酸が、まるでレモンを絞ったように、鮭の塩気をやわらげ、旨味へと昇華させてくれます。
秋刀魚とワインのマリアージュ
青魚とワインを合わせる際には、添えられる薬味の風味がポイントとなります。
たとえば秋刀魚の塩焼きに添える薬味といえば、佐藤春夫の詩のごとく、青き蜜柑やレモンなどの柑橘類。したがって、脂の乗った、旬の秋刀魚の塩焼きには、柑橘のニュアンスをもつ、ニューワールドのリースリング、ゲヴュルツトラミネール、セミヨン、ピノ・グリージョなどの白ワインが寄り添いやすいということになります。
また、大根おろしにたっぷりと醤油をかけて召し上がるむきには、発酵調味料と相性抜群な「旨味と芳醇さを合わせもつワイン」がおすすめ。熟成感のあるフルボディの白や、マロラクティックをおこなったシャルドネなどが、ピタリとはまります。
これが、秋刀魚の開きになると、干したことで旨味が凝縮されているため、軽めの赤ワインもカバーできるようになります。この時、焼き上げた秋刀魚の開きに少量のガーリックパウダーを振りかけると、薬味の効果を果たし、ワインに寄り添いやすくなります。
個人的なおすすめは、缶詰の秋刀魚の水煮にバルサミコ。小口切りにした長葱や浅葱、みじん切りの玉ねぎなどを薬味にすると、ニュージーランドのソーヴィニョン・ブランなどと抜群の相性を発揮します。
お寿司の人気ネタ
「どんなお寿司が好き?」と最近の子どもたちに訊くと、多くが「サーモン!」と応えます。
長い間日本では、鮭は火を通して食べるものでしたが、生で食べて安全な海外のサーモンが輸入されるようになり、回転寿司の人気メニューとなりました。
秋刀魚も、塩焼きか開きでいただくものでしたが、保存や輸送手段の進歩によって、お刺身でも食べられるようになりました。
こうした食材と、世界中のさまざまなワインをマリアージュさせることができるのは、まさに現代人の特権。既成概念や調理法などに縛られることなく、自由な発想でマリアージュを楽しんではいかがでしょうか?