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2010/11/26

How to

テイスティングの方法

1.ワインを目で見る

グラスに少量のワインを注ぎ、前方へ45度グラスを傾け、白色の平らな背景にグラスをかざしてワインを観察します。
ワインの色を判断する際には、カラーチャートが役立つでしょう。
この段階では色のほか、以下の条件に従ってワインの外見についても評価します。

透明度 色の強さ 色の彩度 発砲/乳酸発酵の有無
不透明
雲っている
半透明
濁りがある
軽く濁りがある
透明
澄み切っている
輝いて見える
光輝いて見える
力のない色
薄い
明るい
中程度
曇っている
濃い
暗い
深みがある
くすんだ不透明
枯れている
活気がない
鈍い
平坦
深みがある
活発
活気がある
元気が良い
躍動感がある
気が抜けている
平坦
落ち着いている
泡を感じる
適度に活気がある
ふつふつと泡立っている
発砲している
泡立ちが良い
音が立つ程の発砲

2.ワインの香りを知る

落ち着いたワインをテイスティングしていて最初に感じるのは、ワインから立ち上る揮発香です。
軽く香りをかいだ時の印象で、酸化、酢酸、コルク臭など、ワインに問題があるかどうかがわかります(問題のあるワインは不快な香りがします)。グラスと鼻の間の距離を変えて、香りがどう変わるか調べてみます。
アロマホイールは、ワインの香りの判断基準として役立ちます。

3.ワイングラスを回し、もう一度香りを嗅ぐ

手首を使ってワイングラスをリズミカル、かつ静かに回します。
こうすることによって揮発香が消えていき、ワイン本来の香りを構成する要素が把握できます。グラスを回すことで、ひとつ前の段階ではかすかに感じられた香りが部分的に表面化してきます。

4.ワインの味を利く

ワインをひと口飲み、しばらく口の中で味を確かめます。
ワインを飲んだ瞬間に感じた印象、口あたり、フィニッシュを確認するようにして味わいます。
味の印象を深く知るために、ワインを口の中で転がしたり(タンニンが突出してきます)、唇をかすかに開いて空気を含ませてもかまいません(閉じていたアロマが開きます)。
ワインの香りを確認する際、ここでもアロマホイールが活躍するでしょう。

複数のワインをテイスティングする際には、口に含んだワインは飲み込まずに吐き捨てます。(酔いのせいでテイスティング能力に悪い影響が出ずに済みます)。
少量の水を飲めば、口の中からワインの要素が消えます。
口の中の感覚が大きく左右されるので、テイスティングのときにはパンを食べないでください。

ワインの味をさらに詳しく評価するには、下の表を参考にするといいでしょう。

甘味 酸味 タンニン 収斂性 苦味
甘味がまったくない
酸味のある甘口
ほのかな甘味
少し酸味がある甘口
甘口
甘味が非常に強い
シロップのような甘味
ハチミツのような甘味
芳醇な甘味
酸味がまったくない
酸味がほとんどない
ほのかな酸味
さわやかな酸味
生き生きとした酸味
爽快感のある酸味
酢に似た酸味
ピリッとする酸味
存在感の強い酸味
舌ざわりが良いタンニン
ベルベットのようなタンニン
おだやかな印象のタンニン
丸みのあるタンニン
きめの細かいタンニン
きめの粗いタンニン
硬いタンニン
ざらざらとしたタンニン
存在感の強いタンニン
ほのかな収斂性
なめらかな収斂性
芳醇な収斂性
凝縮された収斂性
こもった印象
衣をかぶったような印象
きめの粗い印象刺激感がある
ざらついた印象
かすかな苦味
ほのかな苦味
軽やかな苦味
中程度の苦味
しっかりした苦味
苦味が主体
きめの粗い苦味
苦味がきつい
存在感のある苦味

5.飲み終わった後のグラスの匂い

飲み終わった後のグラスから立ち上る新たなアロマの骨格から、ワインを飲んでいる時には気付かなかった情報が読み取れます。
そんなはずはないと思われたなら、手順「2.ワインの香りを知る」に戻ってテイスティングをやり直してみてください。

6.ワインの総合評価

最終段階ではワインの複合的な要素、バランス、熟成の度合いを評価します。
テイスティング中に感じた相対的な印象がもっとも大切です。
ワインの判定は20点満点、または100点満点で評価します。

複合的な要素 バランス 熟成の度合い
鈍い
冴えない
シンプル
率直な
明らかな個性がある
多層構造の
微妙な個性が折り重なった
複雑な個性を持つ
圧倒されるような個性を持つ
バランスが取れていない
バランスに欠ける
バランスが不十分
急激に変化する
一次元的なバランスが取れている
安定した
バランスの取れた
複雑な
調和した
みずみずしい
若々しい
熟成の途中にある
成熟した
熟成が進んだ
熟成から衰退に進みつつある
衰えが始まった
熟成が完全に終わった
ワインとしての寿命を終えた
20点法 100点法
20 傑作
19 並外れた
18 傑出した
17 優秀な
16 とても良い
15 良い
14 平均的
13 平均を下回る
12 悪い
11 堪え難い
95-100 世界トップレベル
90-94 傑出した
85-89 とても良い
80-84 良い
75-79 平均的
70-74 平均を下回る
65-69 凡庸な
60-64 許容範囲の最低レベル
55-59 問題あり
50-54 堪え難い

ワインの色について

ワインの色は、熟成年数、凝縮の度合い、醸造技術に大きく左右されます。
通常、ブドウ品種とワインの色との関係は以下のようになりますが、必ずしもこの色に限定されるわけではありません。
一般的には熟成年数の短い若い赤ワインはすみれ色や紫色をしていますが、熟成が進むと芳醇な深紅色(ガーネット)に変わっていく傾向があります。

アロマホイールについて

ワインが持つ多種多様なアロマを要素別に分類し、体系的にまとめたアロマホイールはテイスティングで感じ取ったさまざまなアロマを表現する際に役立ちます。

テイスティングで得た印象で調べる

アロマホイールから、テイスティングで得た主観的な印象に一番近いアロマを探します。
次に、選んだアロマが隣り合うアロマと調和するか確認します。ワインに対する印象がこうして次第に固まってきます。

アロマホイール

  • Wolfgang AngyalWolfgang Angyal
  • リーデル・ジャパン代表取締役社長/リーデル社認定シニア・ワイングラス・エデュケイター

1965年オーストリアのチロル地方、クフシュタイン生まれ。 ホテルのサービスマンをしていた1985年、大阪で開催された第28回「技能五輪国際大会(World Skills Competition)」のレストランサービス部門に、オーストリア代表として参加。金メダルを受賞する。その後1年間、「辻学園 日本調理師専門学校」等で教授を務めるうち、日本の風土に惚れ込み移住を決意。オーストリアと日本をつなぐアイテムとしてリーデルグラスを選び、1989年よりその有用性を広める活動に専念する。2000年「リーデル・ジャパン」(現RSN Japan株式会社)代表取締役社長に就任。グラスとワインの密接なる関係を、最初に日本人に認識させた人物として知られている。
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