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2023/06/28

Restaurant

ノーマ京都



ノーマ京都
デンマークから連絡があったのは、昨年の7月。
それから、幾度のやりとりをデンマークと確認しながら、今年の年明け来日したヘッドソムリエとの
最終確認を経てノーマ京都のグラスアイテムが決定となり、ノーマ京都で提供されるワイン、日本酒とビール、スピリッツからノンアルコールまでのグラスがリーデルからセレクトされた。

ノーマとは
世界一予約が取れないレストランとしても有名なコペンハーゲンの名店「ノーマ」。
ミシュランは三つ星を獲得はもちろんのこと、開業から20年で5度も世界ベストレストランで1位を獲得という輝かしい称号を持ち、世界中に様々な影響を与えるレストランである。
オーナーシェフ レネ・レゼッピは15歳で料理をはじめ、「エル・ブリ」などの一流店で腕を磨き25歳で2003年にコペンハーゲンに新北欧料理「ノーマ」をオープンした。

ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)
土地が肥沃とは言いがたい北欧では、収穫できる食材は限られ、食事の役割は栄養補給として考えられてきた。デンマークの実業家クラウス・マイヤーとレネは北欧料理の探求の為、10項目からなる北欧キュイジーヌのマニュフェストを宣言し、国内外からの注目を集めるようになった。ノーマのゲストは実に80%が海外ゲストというほど、世界中から注目を浴び続けている。
新北欧料理と認定されるには、地産地消、伝統的な北欧食材を新しい視点で活用するなどのマニュフェスト項目を遵守しなければならない。

日本でのポップアップ
ノーマは過去、2016年にシドニー、2017年にメキシコでポップアップを行なっている。
その「ノーマ」が日本で初めてのポップアップは2015年東京のマンダリンホテル。
数分で全ての予約席が埋まり、ウェイティングリストが数万人になったことでも有名に。
今回は2023年3月から5月の10週間限定、京都で日本2回目のポップアップを行なった。

ノーマ京都上陸
京都のポップアップ会場はエースホテル3階のメインダイニング。
10週間で5000席が用意されたが、今回も国内外からの予約で初回発売分は9分で完売したとか・・
現地コペンハーゲンのノーマが2024年に閉店を宣言し、さらに予約困難になった意味でも今回「ノーマ京都」は貴重な席に。「ノーマ京都」をオープンのため、スタッフとその家族95名というオーケストラサイズで来日した。

ノーマが日本の食材を使い、どのような料理を提供したのか、ペアリングされた飲料と一緒にご紹介する。見た目から想像できない味わいばかり・・

八寸
最初の八寸だけで100種類近い素材と調味料が使われている。
1皿目は日本酒ペアリングで、京都伏見の日日 日々酒造ノーマオリジナルボトル。

1、湯葉と行者ニンニク
味噌のような発酵したコクのある燻製バターでソテーした行者ニンニクと京都の湯葉と野草に
カシスオイルをかけて。見た目よりしっかりした味付けと旨味で、酒の旨味と同調する。

2、麦麹と赤生姜
麦麹と醤油ダレに薄く切った赤しょうがをオイルでマリネ。
柑橘の皮を振り、タレの焼いた蒲焼のような味わいと生姜の刺激を日本酒の甘みが和らげてくれる
補完的ペアリング。

3、トマトの花
土佐のトマトや、まほろばトマトをセミドライにして、石垣島のバラ、中にはセミドライにしたハスカップやサルナシ、料理の下にはベリーペーストとナスタチウムの葉を。
旨味と酸味とコクのある甘みは、日本酒の味わいはもちろん、柔らかなテクスチャーも同調している。

4、桜の葉
桜の葉を塩抜きにし、葉の裏に黒ニンニクのペースト、縁にはハスカップの粉が振ってある。
見た目からは想像的ないほど濃い味わいで、日本酒にも勝ちも負けない味の強さ。

5、ポーレンのジェル
燻製した緑茶の香りを移したトマトのゼリーに、花粉とハイビスカスの粉をまぶしたもの。
濃縮したトマトと緑茶と花の風味が三位一体となり立体的な味わい。トマトの旨味が日本酒
との相性をより際立たせる。

八寸の5種は、どれも個性的な味わいと風味だが、しっかりと味付けがしてあり満足感が得られ、共通して酸味は控えめ、旨味や塩味が効いていることで日本酒との相性もよかった。
料理の味わいの構成はどれも驚くほどの複雑さだが、全てが要素が機能していてマッチしている。
シェフの想像力と技術力に舌を巻く衝撃の1皿目。

次の4皿のペアリングには、山梨のボーペイサージュ ツガネ シャルドネ2019を合わせて。

モンゴウイカのウィスキー和え
氷の上に紋甲烏賊のウイスキーヴィネガーマリネ。その上に薔薇や桜の塩漬けパウダーがけ、
イカの下には柑橘のジュレとペーストが。柑橘の酸味とイカの甘みにシャルドネのコクが加わり
小さいポーションの料理なのにインパクトが大きい一皿に。

白海老と味噌のクリスプ
味噌のクリスプの上に桃の木の樹液ジュレと白海老、長野県産アリ(酸味の役割)
クリーミーな海老やジュレとクリスピーな土台2層の食感のハーモニー。
旨味、甘み、コク、そこにアリの酸味が加わることで、想像を超えた多次元の味わいに。
海老と味噌とシャルドネのペアリングは流石。

タケノコとヤリイカの出汁
たけのこは熟成させた燻製したトウモロコシ「コーンぶし」とゆっくりと火入れし、ゆっくり冷ましてからスライス。ヤリイカの出汁にジャスミンで香りづけして、そこに麹で作ったオイルをかける。
爽やかな旨味でタケノコの素材の旨味を楽しむ一皿。タケノコのミネラル感とシャルドネのミネラル感が同調。

メカジキと昆布
気仙沼のメカジキのハラミ、昆布とバターソース
濃厚な味わいで、昆布とバターという組み合わせとメカジキの脂が一体となり、ツガネシャルドネとの組み合わせでナンバー1と感じた一皿。普通では考えられない料理、ペアリングに脱帽。

ここでペアリングが日本酒に変わる。鳥取の久米桜スターバースト 精米90%の生酛にごり。

お豆腐と生アーモンド
青大豆から作られた豆腐にマジョラムのオイル、松の実、ナスタチウムの花(金蓮花)、すりおろした生アーモンドと松の葉を抽出したシロップをかけて。
さらには、ひよこ豆にエルダーフラワーを合わせた味噌をアーモンドの中に。

ココナッツのような生アーモンドの食感、ナスタチウムのピリっと効いた辛味、大豆の香り高い豆腐、青さを感じる多層な味わいと旨味の強い純米との相性は抜群。

次のペアリングは日本ワイン。
余市町ドメーヌモン ドングリ2021年 ピノグリの無濾過、無清澄のオレンジワインを合わせて。

キンキ
ひよこ豆の味噌、卵黄から作ったペーストをキンキに塗り、西京焼きのように炭焼きに。
キンキの脂と西京焼きのような甘みを感じるふんわりとした食感の一皿。
ピノグリの甘みとスキンコンタクトしたことに感じる心地よい若干の苦味が、キンキの炭の風味と味噌、卵黄の柔らかな甘みとマッチする。

 

蓮根ステーキ
蓮根はデンマークになく、使ってみたかったそう。
シジミ出汁や卵黄、バターにライスヴィネガーを合わせたソースにつけて、醤油のようなタレ(トリュフとポルチーニをベース)を塗り、丸ごと3時間じっくり炭火で焼いた蓮根にジュニパーベリー、山椒でオリエンタルに仕上げたもの。

ワイン目線でいくと、土っぽさと、焼いたタレ、スパイスに濃厚な黄身ソースは、焼き鳥を連想し、軽い赤ワインを選びたくなる一品だが、ビターなオレンジワインをセレクトしてくるところがセンスを感じる。

千葉の寺田本家 モリノウタ ノーマオリジナルになり、ドングリを入れているとか。

山菜
伊勢海老の味噌をソースに、うるい、うど、こごみ、菜の花、行者ニンニク、タラの芽、すいばを炭やバターで焼き、一つ一つ異なる香り、食感、苦味に旨味を加えたもの。シンプルだが一口が味わい深く、見た目も楽しい。コクのある伊勢海老味噌と山菜の苦味が、酒の甘みとアルコールの苦味と同調。

メインディッシュには、赤ワインを。余市町 ドメーヌタカヒコ ナナツモリ 2020を合わせて。

伊勢海老
蒸した伊勢海老にバラとかんずりを移したオイルを塗り炭焼きにしているとのこと。
燻製したトウモロコシと燻製カボチャのペーストと合わせた複雑な味わいに木の芽のアクセントになる一品。

伊勢海老の旨味とコク、スモークした穀物の風味が優しくも新しい味わいは、出汁を感じるナナツモリ が優しく調和する。

赤ワインに甲殻類を合わせることは海外でもあるがしっかりした味わいのワインと料理の場合が多い。
新しい和のテイストでの組み合わせは日本人にして新鮮味を感じるペアリング。

緑米と薔薇
最後の土鍋ご飯。石垣島のバラとローズオイルとビネガーで味付けして炊いた緑米(古代米)。
薔薇の香りとグリーンライスの青い香りが新鮮で、ナナツモリに薔薇の香りを足した感じで香りが楽しめた。玄米とも異なるプチっとした食感、シャキシャキとした薔薇の食感が軽やかなシメのご飯。

柚子ソルベと貴醸酒
ノーマには最後まで驚かされる。
敷いた昆布の上には、生クリームに柚子のソルベを混ぜてシジミの形に成形、貴醸酒のゼリーを添えたもの。食後酒として、少量生産された千葉の蒸留酒、カノスケのシングルモルト、桜の蒸留酒を合わせた。

苺の餅
あまおうを乾燥させて、カルダモンとサフランのキャラメルと求肥を挟んだもの
小さいが濃厚な味わい。スピリッツでも合わせられる味の強さ。薫る桜の蒸留酒とあまおう、サフラン、キャラメルと一体になる新しい味わい。

カニステル(エッグフルーツ)
沖縄のフルーツ、カニステルのクリーミーな実の部分にエルダーフラワーのオイルとビネガーを垂らして見えないが実は蟻の酸味をプラス。ほっくりとした食感が特徴のカニステルはどこか新しい南国の味わい。強い味わいとアルコールからくるとろみのあるシングルモルトが良くあった。

ノーマ京都体験
肉もパンも出ないのにしっかりと満足感があり、新しい味の組み合わせ、香り、食感、それを生む調理法が印象的で、ノーマ以外にはどれも考えつけない料理、調理法であることを改めて感じた。

さらにそれを飲料と合わせることで、料理とはまた違った味の発展はさすが。和の食材だが和食ではなく、洋食ではない「ノーマ」というジャンルの料理。そこに合わせてくる飲料が面白い。ノンアルコールペアリングメニューもあった。

味噌や醤油をアレンジして新しい和のテイストを作り出し、そこに出汁感のあるワインやテイスティーな日本酒や蒸留酒を合わせたノーマ京都でないと体験できないペアリング。

ノーマ京都のコースの展開は全く予想ができなかった。
異なる全ての香り、食感や味わいの複雑さ、バランスは他では体験できない料理ばかり。
飲み物のペアリングとなるとかなり難しいはずだが、ニューヨーク出身のヘッドソムリエ メイスは
数ある日本酒と日本ワイン、ビールから蒸留酒の中から、これだけマッチするビバレッジ見つけたセンスは秀逸である。

ノーマ京都でセレクトされたグラス
<リーデル・ヴェリタス>シャンパーニュ・ワイン・グラス/甲州
<リーデル・ヴェリタス>オールドワールド・ピノ・ノワール
<リーデル・ヴェリタス>スピリッツ
<リーデル・ヴェリタス>ウォーター
<ヴィノム >大吟醸

  • 白水 健Ken Shiramizu
  • (社)日本ソムリエ協会公認ワインアドバイザー/リーデル社認定ワイングラス・エデュケイター

1980年東京都生まれ。学生時代にビストロでのアルバイトを通じてワインに魅了され、ソノマのワイナリーを巡りブドウの収穫を手伝うほどワインにのめり込む。大学卒業後、ワインショップに入社。店舗でリーデルグラスも販売していたことがきっかけでリーデル・グラス・テイスティング・セミナーを受け、開眼。グラス・エデュケイターを目指し、2003年にリーデル・ジャパンに転職。リーデル渋谷店店長を務めた後、2005年(社)日本ソムリエ協会ワインアドバイザー資格取得。リーデル・ジャパン本社へ異動と同時に日本人で第3番目の「リーデル社グラスエデュケイター」となる。これまで飲み溜めたワインの話と共に、ライブ感溢れる語り口で聞き手を魅了している。
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