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2013/01/18

Column

「ステムをもつ」が正解ではない!? グラスのタイプ別 ボクのグラスもちかた考

ボクは、気軽にワインを楽しむ場面では、よほど大きなグラスでない限り、ボウル部をもって飲むことが多いのですが、シーンによってはステムをもって飲んでいます。
今では無意識に使い分けているようですが、どのように使い分けているか、改めてまとめてみました。

★『グラスのタイプ別 ワイングラスの持ち方』★

ワインシーンでよく見かけるグラスの形状をばっさりと2つにタイプ分けすると、おおよそ次のように分けられます。

(A) どっしりと重くて、ラッパ型のボウルをもったクラシカルな形状のグラス。
(B) 飲み口のひらいたカジュアルなグラス
(C) 卵形のボウル形状をもつワイングラス(ワイン・フレンドリー・グラス ⇒ 後述します)

ボクの場合、この2つのタイプのどちらかによって「グラスのどの部分をもつか」を自然に使い分けているようです。

(a.b)クラシカル/カジュアルなグラスの場合 ⇒ ボウル部を持ちます
(c)ワイングラスの場合 ⇒ 主にステム部を持ちます

それでは、それぞれのタイプ別グラスの持ち方を見てゆきましょう。

(1)<クラシカルなデザインのグラスや、カジュアルなグラス>の場合

「ボウル部」をもつのが自然です

photo credit: Steve A Johnson via photopin cc

photo credit: Krypto via photopin cc

どちらのグラスも、ワインの香りや味わいを楽しむことを第1に考えての形状ではなく、
「目で見て楽しめること(上)」「使い勝手 や 強度(下)」を優先してデザインされたグラスです。

このタイプのグラスに共通するのは、
・ ボウル形状にすぼまりがない(口がひらいたラッパ型)
・ 全体的に背が低く、ステム部分が短い
・ 特に伝統的なグラスの場合、グラス自体が重い

このような形状のグラスにワインが7分目程注がれた状態では、重心がグラスの上の方へ偏ってしまいます。
短いステム(脚)をもって全体を支えるのはとても不安定ですね。

このようなタイプのグラスの場合、ボウル部分をもつのが自然ですね。

photo credit: StephenMcleod – International Man of Mystery via photopin cc

(2) ワインを楽しむためのワイングラスの場合

「ワインを注いだグラスがワイングラス」ではありません

グラスを大雑把に3つのカテゴリーに分けてみましょう。
・ 目で見て楽しむグラス
・ 使い勝手や、強度を第一に考えて作られたグラス
・ ワイングラス

気軽なカフェなどでお水代わりにワインを飲むときにはどんなグラスでも、ときにはコップでもよいかもしれません。
ただ、ワインの醍醐味である「香り」や「味わい」を楽しむには、その目的のための最低限必要な要素をもったワイングラスを使う方が、確実にワインの楽しみ(=満足度)が広がります。

そして「ワインの満足度をたかめる」ための、最低限の条件を揃えたグラスこそが「ワイングラス」と呼べるのです。
私たちはそんなグラスをひろく「ワイン・フレンドリー・グラス」と呼んでいます。

「ワイン・フレンドリー・グラス」に必要な最低限の要素

1)無色透明で無装飾なボウル
2)卵形のボウル
3)全体のバランスにあったステム

一方で、さらにワインごとのキャラクターを楽しむには、ブドウ品種ごとに選定された形状が必要になるのですが、これが「グレープ・ヴァラエタル・スペシフィック」というリーデルの基本理念なのです。

「グレープ・ヴァラエタル・スペシフィック・グラス」や「ワイン・フレンドリー・グラス」で、分析的にワインを感じたい、調べたいという場合、基本的にはステムやベース(台座)をもってワインを飲みます。

・ 手の体温が必要以上にワインに伝わらないように
・ ワインの外観を正確に観察できるように
というのがその主な理由です。

ただ、ワイングラスであっても、気の置けない友人などとリラックスして飲むときには、ボウル部をもっていることが多いですね。

(3)グラスの寿命を左右する「お手入れ時のグラスの持ち方」

洗ったり拭いたりしているときは、最もグラスを割ってしまいやすい場面の一つです。
「グラスの寿命は、グラスの持ち方で決まる」 と言っても過言ではないくらい、お手入れ時のグラスの持ち方はとても重要です。
以前グラス・エデュケイターの吉井さんが書いた記事に、そのポイントがとてもわかりやすくまとめられていましたので参考にしてみてください。

★すごく参考になります「グラスの安全な拭き方」の記事


  • 庄司 大輔Daisuke Shoji
  • (社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ/リーデル社 ワイングラス・エデュケイター

1971年神奈川県生まれ。明治大学文学部文学科卒業、専攻は演劇学。 塾講師、レストラン勤務などを経て、1998年(社)日本ソムリエ協会公認ソムリエ呼称資格取得。1999年にボルドー地方サンテミリオンの「シャトー・トロットヴィエイユ」で学ぶ。2001年リーデル・ジャパン入社、日本人初の「リーデル社グラス・エデュケイター」となる。リーデルグラスとワインの深いつながりやその機能を、グラス・テイスティングを通して広く伝えるため、文字通り東奔西走している。
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