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2017/12/25

Column

ヴェネチアンガラスとオーストリアガラスの融合 <ファット・ア・マーノ シリーズ>の魅力

fatto a mano

ガラス製品のひとつの頂上といえば、イタリアのヴェネチアンガラスがあげられます。

さまざまに美しい色合いを持ち、装飾性の高いその作品は、中世以来、ヨーロッパの王侯貴族、ブルジョアたちを魅了し続けてきました。

ヴェネチアンガラスの歴史

ヴェネチアンガラスの起源については、さまざまな説があります。

古代エジプトのガラス技術の流れを汲むローマ帝国のガラス職人がヴェネチアに根付いたからとも、ヴェネチア共和国は東方貿易の拠点であったため、人気のガラス製品の自製に取り組んだからともいわれています。

おそらくは、古代以来のガラス技術が地中海世界各地やイスラム世界へと広がり、やがて文化の集積地であるヴェネチアに再集結するかたちで、洗練が加えられていったのでしょう。

人びとを魅了してきた美しいガラス

古代ローマ帝国からの流れ

古代ローマ帝国は、4世紀末頃には東西に分裂してしまい、さらにその100年程後には西ローマ帝国が消滅。その混乱の中で、古代以来のガラス製造技術は断片的になり、分散してしまったと考えられています。

また、古代ローマのガラス製法の一部は、地中海東部、シリア、パレスティナ地方などに移り、独自の発展を遂げました。

さらに技術の一部は、中東のイスラム世界へも引き継がれました。中東においては、7世紀頃にはイスラム・グラスの評判も高く、これが貿易によって地中海世界へももたらされ、大いに人気を博します。

ヴェネチアの宝

ヴェネチア共和国にとって、ガラス製品の生産は、大切に守らなくてはならない、国家機密でした。

1291年、ヴェネチア共和国は、共和国内のガラス工房のすべてと、ガラス職人、販売関係者およびその家族を、ムラーノ島へと強制移住させ、彼らに島から逃亡することを禁止しています。

ヴェネチアンガラス最大の特徴は、鉛を含まないソーダ石灰を使用し、コバルトやマンガンなどの鉱物を混ぜることで、様々な色合いを表現すること。こうして作られた美しい色合いは、宝石にも喩えられ、人びとの垂涎の的となったのです。

手作りの美しさ<ファット・ア・マーノ シリーズ>

fatto a mano

2017年9月20日に発表された<ファット・ア・マーノ シリーズ>は、いわばガラス界の2トップの技術が融合したワイングラス。

「ファット・ア・マーノ」とは、イタリア語で「手作り」を意味する言葉。

<ファット・ア・マーノ シリーズ>は、伝統的なヴェネチアンガラスの技法を用いた色彩豊かなステムに、機械による吹きガラスのボウルを結合させるという、これまでのリーデルのグラスとは、異なるプロセスで作られています。

このプロセスを採用することで、「職人の手で作られたステムの感触」と、「色彩豊かな美しさ」、そして「ワインの個性を引き出す完成度の高いボウル」を、ハイコストパフォーマンスに実現することができました。

ステムの基本カラーは、ホワイト、ブラック、イエロー、レッド、グリーン、ダークブルーの6色。ボウルの形状はぶどう品種別の6種類。計36種類の基本カラーに加え、美しい白と黒のツイストステムもラインナップされています。

セットだけの販売ではなく、お好きな色、形状をひとつからでもお求めいただけるので、ギフトにも最適です。

色に特別なメッセージを込めた贈り物に

<ファット・ア・マーノ シリーズ>で、色に特別な思いを込めた、メッセージ性の高い贈り物をしてみてはいかがでしょうか?

人生の節目に「赤」を

fatto a mano red

赤というと、還暦のお祝いを思い起こす方も多いでしょう。

還暦は、満60歳のお祝い。十干と十二支を組み合わせた干支が60年で一巡するため、60年経つと干支は生まれた年に戻ります。まさに、「暦(こよみ)が還(かえ)る」ので、還暦です。

このため、生まれ直してふたたび「赤子」になると考えられました。

ちなみに、赤という色には魔除けや病気除けの力があると考えられたため、生まれたばかりの子どもは、大切に赤い布で包まれたのです。かつて、紫式部や清少納言などの女官が緋袴を身につけたのもこのため。また、学習院では今でも、男子生徒が水泳をする際は、古式に則って赤褌(あかふんどし)をつけます。

また西洋では、赤は情熱の色。

還暦はもとより、これから何かをはじめる人への贈り物に、「赤」は最適といえるでしょう。

かけがえのない生命を祝う「緑」

fatto a mano green

かつて、美しい髪、ことに女性の髪をさして「みどりの黒髪」といいました。

しかし、黒髪が緑とは、どういうことでしょうか?

そう考えると「みどり」という言葉は、不思議な使われ方をします。赤いおくるみ、赤い肌であるから「赤ちゃん」なのに、「みどりご」。緑色なのに「緑信号」とはいわず「青信号」、緑色の汁なのに「青汁」ともいいます。「緑の青葉」という言葉に至っては、矛盾にきわみ——

しかし、こうした使い方にはきちんとした意味があります。

茶色い孤を「赤ぎつね」というように、その昔「色」は今よりずっと大まかに括られていたのです。つまり、グリーンも、かつては青の仲間だったのです。

実は「みどり」という日本語は、本来は色を表す言葉ではありませんでした。「黒髪」「赤ちゃん」「青葉」に共通しているのは「若々しい艶のある輝き」。

髪のキューティクル、赤ちゃんの柔肌、萌えいずる若芽の艶を、いにしえの日本語は「みどり」とたたえたのです。

グリーンステムを贈り物にする際のおすすめは、育児のお祝いです。出産直後には、お子さんにさまざまなお祝いが届けられますが、実際に大変な思いをしたのはお母さんに他なりません。また、お母さんは、産前産後の長い期間、お酒を飲むことができません。そんな、実はお酒好きのお母さんに、授乳期が終わった節目などに「ご苦労様」の意を込めて、育児祝いを送ってはいかがでしょう。

きっとステムのグリーンが美しく輝くことでしょう。

「贈り物の達人」に

その他にも、白は世界的に純潔をあらわし、黄色は風水では金運、青はヨーロッパでは貴族的な高貴な色合い——などなど、色にはさまざまなメッセージを込めることができます。

贈り物の達人にこそ、おすすめしたい<ファット・ア・マーノ シリーズ>のカラーバリエーションです。

  • 髙山 宗東muneharutakayama
  • ワインコラムニスト・歴史家・考証家・有職点前(中世風茶礼)家元

専門は近世史と有職故実。歴史的観点を踏まえてワインのコラムなどを執筆。
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