2017/12/21
Column
もうワインを飲めないときの、スマートな意思表示
レストランでは、お客様はワインを自ら注ぐことはしません。
ソムリエさんが、グラスが空になるタイミングを見計らい、飲み頃の温度に管理されたワインを注いでくれます。
この時、「ワインはもう充分です」という意思表示をするには、いくつかの方法がありますが、さて、どのようにしたらスマートでしょうか?
「もう充分です」というスマートな意思表示
その場の雰囲気を壊さないために
レストランなどの席において、会食を共にしている人たちがまだワインを飲み続けている時に、自分だけ「もうワインは結構です」などというと、その場の雰囲気を壊してしまうこともあります。
しかしそのために、ワインを注ぎ続けられ、飲み過ぎて気分が悪くなってしまったり、粗相をしてしまったりしては、元も子もありません。
そういう際に、ソムリエさんにこっそりと「私はもう充分です」という意思を伝える方法があります。
ソムリエさんがテーブルの人びとにワインを注ごうとした時に、軽くグラスの縁に掌の先をかざすのです。
このようにすると、声に出さなくても、ソムリエさんには「もう充分です」という意思が伝わります。
その場合、ほんの少しだけグラスにワインが注がれることがありますが、あわてずに。同席の人が気をまわさないようグラスを空にしない、これはソムリエさんの配慮なのです。
気をつけたいポイント
「充分です」の所作で気をつけたいのが、オーバーアクションにならないようにすること。
掌でグラスに蓋をするような仕草は、適切ではありません。それに、テーブルの上でグラスを覆うように手をのばすと、思わぬ事故にならないとも限りません。
また、ピシャリとお断りするように、遮断するような手の動きも、場の雰囲気を壊してしまうことがあります。
あくまでもソムリエさんにだけこちらの意思が伝わるように、周囲の目に立たないように配慮したいものです。
そのようにすると、こちらの意図を理解してくれたソムリエさんは、「お水はいかがですか?」などとすすめてくれるはずです。
ビストロや気軽な酒場では
ビストロや気軽な酒場では、ワインはお店の人が気づいた時に注いでくれたり、お客が自ら注いだりすることがもっぱらでしょう。
こういう場合は、ソムリエさんのような阿吽のホスピタリティーを求めることはできませんので、グラスにワインが残っているうちに、お水を注文するとよいでしょう。
グラスが空にならなければ、楽しい雰囲気が壊れることもありませんし、まだ飲み続けたい人にとっても、水は悪酔い止めの特効薬。
コーヒーや紅茶、ハーブティーなどを注文すると「そろそろお開きにしましょうか?」というサインになります。
楽しくお酒を飲むために
会食の際のお酒は、円滑なコミュニケーションのためにある——といってよいでしょう。ゆえに、その場の雰囲気を壊さないための配慮は、社会人としては当然のこと。
しかし、あまりに空気を読み過ぎて負担を抱え込んでしまうことは、席を共にしている人にも失礼にあたります。
そういう際の補助装置として、社交の場の共通認識となっている所作やサインがあります。長い歴史の中で培われてきた先人の知恵を巧く使いこなしたいですね。