2017/12/25
Restaurant
T.P.O.で使い分ければ上級者! レストラン、ビストロ、ブラッスリー、カフェはどう違う?
前回はチーズとワインのマリアージュについて書きましたが、「脱サラソムリエが本音で語るレストラン利用術」の19回となる今回は、ちょっと視点を変えてレストランとビストロの違いについて取り上げてみたいと思います。
フランスでは、食事を楽しむ場所としては、レストラン、ビストロ、ブラッセリー、カフェの4つが主たる場所としてあげられます。パリの街を歩いているとお店のテントに4つとも併記している店もあるくらいで、この4つには明確な境界線がないというのが現状ですが、一応の目安はあります。
一般にフランスで「レストラン」というと、やや高級な料理店を指します。和食ですと、割烹、料亭といったイメージでしょうか?テーブルクロスがひかれ、テーブルの間隔もゆったりとしていて、サービス陣の数も豊富なところが多いです。特に田舎ではドレスコードも緩めですが、基本的にはそれ相応の服装が期待され、男性ならジャケットを着用した方が良い店です。
「ビストロ」は、居酒屋以上、割烹未満のイメージです。ビストロという言葉は、ナポレオンのワーテルローの戦いでの敗北後の、1815年のパリ占領の頃パリに来たロシア人が兵士たちが、居酒屋でロシア語で「急げ!」というを意味の「bistro!, bistro !」と叫んでいたのが起源と言われています。ですから、ビストロでは料理とお酒は早く出てくる必要がるわけです。接待やデートというよりは、気軽で、友人や家族で訪問する普段使いの食堂な感じです。パリのビストロはテーブルとテーブルの間は狭く、にぎやかな雰囲気の店が多いですし、テーブルクロスもない店が多いです。ドレスコードもなく、カジュアルな服装の方が多いです。最近では、堅苦しさを排除する傾向が高まった結果、レストランのようなしつらえでもビストロを名乗る店も増えているようです。また、高級レストラン出身のシェフたちが高級素材と技術を使いながらも、盛り付け等をシンプルにし、内装もお金をかけず、実質本位で美味しい料理を出す、「ネオビストロ」と言われるセグメントも出てきています。日本でも何度かビストロブームが起きましたが、本国でも同様です。
「ブラッスリー」は、もともとは「醸造所」を指す言葉で、アルザス地方でビールを飲むための居酒屋が発祥のようです。アルザス料理とビールのお店が今では、ビールなどのお酒が飲め、軽い食事ができるところを意味するようになりました。料理の種類はありませんが、簡単な食事とお酒が楽しめるところです。雰囲気的には日本のビアホールが近いでしょう。もう1点、ビストロとブラッセリーの大きな違いは、その営業時間です。レストランとビストロは、ランチとディナーの間に休憩時間が入りますが、ブラッセリーはランチとディナーの間に休みを取らず、通しで営業しているところがほとんどです。そういう意味ではカフェも同じですね。
カフェというと日本では喫茶店のイメージですが、コーヒーだけではなく、軽食、ワインやビールなども楽しめます。営業時間も朝から深夜まで通しで開いていて、朝はカフェオレとクロワッサン、お昼にはサンドイッチ、サラダ、オムレツ、ステーキフリットなどを楽しめます。夜は、食前のアペリティフ、食後のカフェやカクテル、といった使い方も出来るお店です。
「脱サラソムリエが本音で語るレストラン利用術」の過去記事はこちら
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